ジャックラッセルテリアの肥満細胞腫

症例は活発なジャックラッセルテリアであった。

はじめ、頭頂部にしこりができて他院にて切除を行い病理検査を実施たところ、肥満細胞腫という診断をされた。

続いて左耳根部にも類似した腫瘍が形成され、切除したところ、同様に肥満細胞腫だったということであった。

抗がん剤を提案されたため、当院を受診した。

２回の切除はいずれも辺縁部切除となっていたことと、いずれも組織グレードが低かった（良性に近い）ことから、拡大切除手術を実施することを提案した。

毛刈りを実施したところ、頭頂部には新規の腫瘍が形成されていた。

そのため、やや広くマージンを取って切除を実施た。

切除縁は眼瞼の近くであったため、フラップを形成して術創を閉創した。

左耳根部は余剰な皮膚が周囲に存在していたため、単純閉鎖を実施した。

頭頂部の術創は良好に閉鎖し、眼瞼への引き連れも生じなかった。

ーーー以下病理所見ーー

頭頂部の病変は、肥満細胞腫と診断されます。既往歴より再発性の病変と考えられることから、正確なグレード分類は適応されません。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部や脈管内に腫瘍細胞は認められません。今回の切除により予後は良好と考えられますが、念のため、経過観察をお勧めします。
拡大切除された左耳介部では、一部の真皮は瘢痕化していますが、腫瘍性の病変は認められません。

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病理検査をもとに、経過良好と判断していったん治療終了とした。

ただし、ジャックラッセルテリアにおいても、低悪性度の肥満細胞腫が体表に多発するという症例が報告されているため、今後も発見し次第対応していくこととした。

担当医・執刀医：白井　顕治