口唇や顔面、眼球の周囲の皮膚は限られているため、何度も手術によって摘出するだけの皮膚の余裕がないことが多い。そのため、しっかりとした手順で診断を行い、必要な範囲で切除することが重要である。
また、眼瞼や口唇の周囲では、縫合後に術部が引きつれることによって角膜損傷や流涎による皮膚炎など、術後の合併症を起こしてしまう可能性があるため、より小さな切除ですむ早期に治療介入を行ったほうが良いと考えられる。
実績詳細
ダックスの口唇に形成された皮脂腺上皮腫
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 腫瘍科 |
症状 | 唇に腫瘍がある。出血していて気にしている |
症状の概要
検査結果
症例は右口唇に腫瘤が形成されており、出血して気にしているということであった。
診断のため組織生検を実施した。
ーー以下検査所見ーーー
右口唇腫瘤の腫瘤は、毛包上皮由来の良性腫瘍と考えられます。病変内には複数の嚢胞が形成されており、嚢胞内には多量の角質物の貯留が認められます。検索した組織では、深部への浸潤性の評価は困難ですが、通常、境界明瞭な腫瘤を形成することから、局所の切除により予後は良好と考えられます。
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治療方法
良性という診断であるが、上皮腫という診断であるため、マージンを軽度につけて切除することとした。
治療・術後経過
抜糸時、特に更新に引きつれもなく正常に癒合した。
ーー以下病理所見ーー
摘出された右口唇部の腫瘤は、皮脂腺由来の腫瘍です。今回検索した組織では、わずかに皮脂腺への分化を示す細胞が含まれていることから、診断名が変更となっています。腫瘍は、皮脂腺に分化する前の皮脂腺芽細胞が主体となっており、通常の皮脂腺腫に比べ、分化の低い腫瘍です。摘出状態は良好で今回の切除により予後は良好と考えられます。
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摘出状態は良好であるため、抜糸して治療終了とした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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