犬において、乳腺腫瘍は2~4歳程度までに避妊手術を実施することによって将来的に乳腺腫瘍の発生する確率を下がることができるという情報はあるものの、この症例のように若くして乳腺に腫瘍が形成されることもあるため、特別な事情がない限りは当院においてはトイ種・小型種のワンちゃんでは1歳未満での避妊手術を推奨しています。
実績詳細
チワワの乳腺腫瘍(良性)の摘出
検査結果
症例は、避妊済みメスの若いチワワである。
触診にて乳腺を確認すると、右の第一乳腺と第二乳腺の間に直径8ミリほどの皮下腫瘤が確認された。
外見では判断できないため、針吸引生検を実施して細胞診を行った。
ーー以下、細胞診所見ーー
乳腺部から採取された塗抹では、上皮細胞が多数得られていることから、乳腺腫瘍が疑われ、軽度の炎症も加わっています。
乳腺腫瘍の悪性度は細胞異型性の程度と相関していないことがあり、正確な評価には周囲組織やリンパ管への浸潤性を組織学的に確する必要がありますが、検索した塗抹では、顕著な悪性所見は認められません。
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治療方法
細胞診の結果を受け、インフォームドコンセントを行った結果、摘出することとなった。
今回発生した部位は第一乳腺と第二乳腺の中央部であったということと、直径が5ミリを超えていたため、第一・第二乳腺の区域切除を実施した。
治療・術後経過
ー以下、病理所見ー
切除された乳腺では、右2乳腺部に結節性の腫瘍が形成されていますが、良性に分類される腫瘍です。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部や脈管内に、腫瘍性の病変は認められません。摘出状態は良好で、この腫瘍に関しては、今回の切除により予後は良好と考えられます。
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術後14日後に抜糸を行い、病理所見の結果も良好であったため、1年ごとの定期観察とした。
経過良好
担当医・執刀医:白井顕治
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