今回の症例のように、定期検診やほかの理由で検査を行った際に、偶発的に異常が発見される場合もある。偶発的に発見されるということは、その以上に関連して臨床症状を呈していないということになるので、早期発見できたという状態である。その際に、早期だから経過観察を行い予後を観察していくのか、すぐに治療を行うかなど、ご家族とよく相談して決めるべきである。子宮水腫は子宮蓄膿症の前段階の病変であるということが知られているため、本症例では経過観察を行うことなく手術により摘出した。摘出後は地苦悩する子宮自体を摘出してしまうため、子宮蓄膿症になることはない。
実績詳細
チワワの子宮水腫と乳腺腫瘍の摘出(臍ヘルニアの整復の行った)
検査結果
症例はペットシーツを食べ、吐いてしまった。まだおなかの中に残っているかもしれないという主訴で来院した。
エコーを当てたところ、異物が残存している様子は認められなかったものの、偶発的に子宮に液体が貯留し非常に拡張していることが発見された。
症例は特に子宮の拡大に関連して症状を呈していなかった。ご家族と相談した結果、抗生剤を予防的に内服し、卵巣及び子宮の摘出を行うこととした。
治療方法
毛刈り後、小型の臍ヘルニアと、その付近に乳腺由来と考えられる腫瘤が発見されたため、臍ヘルニアの整復と腫瘤の摘出も同時に行うこととした。
定法通り卵巣及び子宮を摘出した。
内部に液体が貯留し、非常に拡張している。
乳腺部腫瘤も摘出し、術創を縫合して手術終了とした。
ーーー以下病理所見ーーー
乳腺では、腫瘍性の病変が形成されていますが、良性に分類される腫瘍です。腫瘍の境界は明瞭で最小限のマージンでの切除となっていますが、今回の切除により予後は良好と考えられます。
子宮では内腔の拡張が起こっており、子宮水腫と診断されます。子宮蓄膿症の前段階と考えられますが、明らかな炎症は認められません。卵巣には著変は認められません。
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治療・術後経過
術創は問題なく治癒し、病理所見と合わせて予後は良好と判断されたため、治療終了とした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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