子宮に関して、子宮蓄膿症の前段階の病変として、分泌物が過剰に貯留する子宮水腫や、子宮内膜炎、濾胞性子宮内膜炎や子宮内膜過形成など様々な状態があげられる。
中年例以降の未避妊の雌、特に発情後では子宮蓄膿症が起こりやすい状況なので、体調不良があった場合にはまずは子宮疾患を除外する必要がある。
実績詳細
チワワの子宮蓄膿症の手術
種類 | チワワ |
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年齢 | 8歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 元気と食欲がない。陰部からトロっとしたものが出ている |
症状の概要
検査結果
症例は避妊手術をしていない中年齢の雌犬であった。
陰部から廃液があり、細胞診を実施したところ膿汁だったため、子宮蓄膿症を疑診し、腹部超音波検査を実施した。
超音波検査において、子宮蓄膿症であることが確認されたため、ご家族と相談した結果、手術を行うこととなった。
治療方法
毛刈りを行って乳腺部を精査していたところ、右第二乳腺部に小さなしこりを認めたため、合わせて切除することとした。
開腹し、蓄膿して拡張した子宮及び卵巣を摘出した。
摘出された乳腺部の腫瘤
腹部正中切開によって卵巣子宮摘出と、乳腺部腫瘤を切除した。
治療・術後経過
ーーー病理所見----
右2乳腺では、結節性の腫瘍が形成されていますが、良性に分類される腫瘍です。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部や脈管内に、腫瘍性の病変は認められません。摘出状態は良好で、この腫瘍に関しては、今回の切除により予後は良好と考えられます。
子宮では、内膜過形成を伴った慢性の化膿性炎症が認められます。子宮内膜の過形成に二次的な細菌感染が起こったために蓄膿に至った病変と考えられます。筋層内には子宮腺筋症も同時に認められ、筋層に異所性の子宮内膜腺が認められます。
左右の卵巣には、明らかな病変は認められません。
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術後、症状は改善し、正常に治癒した。
また、腫瘍性病変も悪性ではなかったため、予後良好と判断した。
担当医・執刀医:白井顕治
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