胃拡張捻転症候群は、胃が突発的にねじれてしまうことにより発症する症状で、胃に付着している脾臓が併せて捻転を起こすこともある。捻転の方向、捻転の程度、捻転している臓器、捻転の結果として出す症状に症例ごとに違いがあるため、症候群という呼び名となっている。
胃拡張捻転症候群は非常に緊急性の高い病状で、発見し次第救急措置を行い、容体を安定化させたのちに速やかに外科手術を行う必要がある。
主な治療方法として、開腹を行い、捻転を整復し、胃洗浄を行い、胃固定をする、脾臓が捻転を起こし血栓が形成されている場合には、脾臓も併せて摘出するという流れになる。胃拡張捻転症候群は不整脈を起こしやすく、麻酔が不安定になってしまう傾向にある疾患であるため注意が必要である。
実績詳細
トイプードルの胃拡張・捻転症候群の手術
種類 | トイプードル |
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年齢 | 14歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 消化器科 |
症状 | 昨晩から呼吸がおかしい。おなかが異様に張っている |
症状の概要
検査結果
症例は呼応歴として肝腫瘍、糖尿病、クッシング症候群を患い、内科療法にて維持管理中であった。
腹囲は有意に膨満しており、レントゲンを撮影すると著しく拡張した胃の陰影を確認することができた。
臨床症状及びレントゲンより、胃拡張捻転症候群と診断した。
救急措置として経腹壁胃穿刺を行い胃内の空気を部分的に除去した(除去後のレントゲン)
通常は空気の抜去のみでは胃拡張がすぐに再発してしまうため、ご家族と相談した結果、手術による捻転の整復と胃固定を実施することとした。
治療方法
クッシング症候群を患っているため、表皮が委縮して腹壁の欠陥が目立つ。
開腹し、捻転を解除し、胃洗浄を実施し、右腹壁に幽門部を固定した。
腹腔内を精査したが、脾臓捻転は起きていなかった。
閉腹し、手術終了とした。
治療・術後経過
術後12時間後より液体の食事をとらせ始め、3日後には徐々に固形物の給仕を行った。
胃拡張は再発することなく、無事退院した。
ほかの疾患を患ってはいるが、容体は安定しているため、気を付けて経過を観察していくこととする。
担当医・執刀医:白井 顕治
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