胆嚢は肝臓に付属する袋状の臓器である。人では胆石などが形成されることが多いが、犬では胆嚢粘液嚢腫や胆泥症などの疾患が好発します。胆嚢は破裂や切開した場合、頻繁に癒合不全を起こすため、通常胆嚢切開ではなく胆嚢自体を摘出する術式が選択される。また、物理的に破裂してしまっている場合、一過性に腸間膜に覆われて症状が改善する場合もあるが、すぐに悪化してしまうことがほとんどである。特に胆嚢粘液嚢腫に対しては、どのタイミングで手術を行うべきであるかは共通見解は得られていないが、当院においては、容態を安定化させて手術に臨むのが一般的です。
実績詳細
トイプードルの胆嚢破裂(胆嚢摘出)
検査結果
症例はすでに胆嚢粘液嚢腫と診断されており、黄疸を主訴に他院にて2週間ほど点滴入院を繰り返していた。
胆嚢摘出を行う必要があるといわれ当院を受診。
身体検査、血液検査、腹部超音波検査などの検査により、総胆管の閉塞及び胆嚢破裂を起こしていることが分かった。
恐らく、胆嚢粘液嚢腫により形成された粘液層が剥離し、総胆管に閉塞、次いで胆嚢が破裂したと考えられる。
治療方法
胆嚢が破裂している場合には外科的な胆嚢摘出が第一選択になるので、点滴療法により一般状態を改善させたのちに胆嚢摘出を行う事とした。
治療・術後経過
開腹すると、胆嚢破裂から時間経過していたため、腹壁に胆嚢の内容物が癒着していた
癒着をはがし、胆嚢を肝臓から剥離し胆嚢を摘出した。
胆管の通過性を生理食塩水により確認し、胆管を閉鎖し閉腹した
手術翌日より自力採食をはじめ、3日後に行った血液検査では黄疸の値は正常域まで低下した。
ーーーー以下胆嚢病理所見ーーー
検索した胆嚢では、粘膜は広範囲な壊死に陥っています。胆嚢炎あるいは、胆嚢粘液嚢腫から壊死に陥ったと考えられます。胆嚢壁周囲では、顕著な肉芽組織の増生が起こっており、不完全な破裂が起こっていたと考えられます。検索した組織では、明らかな化膿性の炎症などは認められません。
今後、定期検診を続けていく。経過良好。
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担当医・執刀医:白井 顕治
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