糸状菌というのはカビの一種で、人の疾患でいうと水虫を引き起こすような病原体の近縁です。実際に猫と人の間で病原体をうつしあってしまう場合もあります。糸状菌は猫の体表に正常でも存在しますが、通常は皮膚の免疫機能とグルーミングなどのお掃除によって、感染が成立して皮膚糸状菌症に進行することはありません。今回の症例のように、若齢であったり、老齢、ステロイド剤などの免疫抑制剤の使用、慢性疾患を持病として持っている、強いストレスがかかってしまっているなどの状況下では本人の免疫力が低下することによって感染が起こってしまいます。
検査として重要なのは、糸状菌が存在することというより、糸状菌の感染が成立していることを確認することが重要なため、確定診断には今回のような顕微鏡検査が有用です。培養を実施して糸状菌が発見されても、正常な猫でも発見されることがあるので、今回の皮膚病と関連しているかどうかの照明にはならないためです。ただし、感染被毛の発見が難しい場合もありますので、いくつかの検査を組み合わせたり、時には問診やヒストリーから、試験的に抗真菌剤を使用する場合もあります。
実績詳細
ノルウェージャンフォレストキャットの皮膚糸状菌症
種類 | ノルウェージャンフォレストキャット |
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年齢 | 4か月 |
診療科目 | 皮膚科 |
症状 | 右後肢の肉球が赤く腫れている。本人は気にしていない。歩行は異常はない。 |
症状の概要
検査結果
症例は2週間ほど前に頭部に糸状菌症が出て、他院にて治療中であり、培養を実施したがまだ結果は出ていないという事であった。
外観
患部
肉球の一部が腫大している
wood灯検査は陰性であったが、抜毛検査を実施して顕微鏡で観察したところ、真菌感染被毛が確認されたため、糸状菌症と診断を行った。
治療方法
若齢であるため、内服薬の投与は実施せず、抗真菌剤が含まれる外用剤の塗布を行った。
治療・術後経過
治療開始5日後には皮膚の主張と赤みは引いたため、追加で塗布を行い、治療終了とした。
担当医:白井 顕治
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