犬の体表に形成される悪性腫瘍として、肥満細胞腫は比較的よく認められる腫瘍である。様々な外観を呈するため、肉眼的に肥満細胞腫を特定することはできないが、細胞診で比較的容易に診断することができる体表腫瘍といえる。形成された場所や遺伝子変異の有無、すでに転移をしているかなどから治療法を決めていく必要がある。
実績詳細
バーニーズマウンテンドッグに発生した肥満細胞腫
検査結果
症例は右わきにしこりがあり、断続的に出血していた。
診断を下す目的で細胞診を実施した。
ーーー以下細胞診所見ーーー
多数の肥満細胞が集塊状に得られていることから、肥満細胞腫と考えられます。強い細胞異型性は認められません(二段階分類の低悪性度型に相当すると思われる)が、肥満細胞腫は転移する可能性がある腫瘍です。
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なお、遺伝子検査においてc-kit遺伝子変異は認められなかった。
スクリーニングを目的として造影CT撮影を実施した結果、原発巣以外に転移性の病巣やそのほかの腫瘍性疾患は認められなかったため、手術を行うこととなった。
治療方法
細胞診の所見より、手術により摘出することとなった。
術前
切除後
マージンと共に切除された腫瘍
縫合後
治療・術後経過
術後14日で抜糸を行い、術部に貯留した組織液を数回抜去して治療終了となった。
ーー以下病理組織所見ーー
摘出された皮膚の腫瘤は、グレード2(2段階評価では低悪性度)の肥満細胞腫と診断されます。
腫瘍の境界は明瞭で、マージン部や明らかな脈管内に腫瘍性の病変は認められません。摘出状態は良好ですが、念のため、リンパ節の状態について経過観察をお勧めします。
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病理所見をもとに、現在経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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