膀胱内に結石がある場合には、結石の種類が治療法を判断するのに重要な情報である。しかし、生体内の膀胱結石は、1種類の結石から出来ている場合と混合結石を形成している場合があるため、正確な把握は難しい場合もあります。繰り返しの尿検査や培養検査を経て結石の種類を推察します。
その結果、溶かすことが可能な結石、代表的なものとしてストルバイト結石のような場合には食事療法及び抗生剤を用いて溶解を目指します。個体差がありますが良好に行えた場合には数週間から数カ月で治療効果が表れます。また、溶けないタイプの結石が疑われる場合にはそれ以上大きくならないようにするために、やはり食事療法を実施します。
しかし、食事療法を行っても非常に結石を形成しやすい個体の場合には結石が再度形成されてしまうこともあります。超音波検査や血液検査を行いながら、結石が形成されてしまう原因について調べてから手術を行わないと、術後すぐに結石が再発してしまうことがあるので注意が必要です。
実績詳細
パグの尿道・膀胱結石の外科摘出
種類 | パグ |
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年齢 | 11 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 泌尿器科 |
症状 | 尿道に結石がつまったことがある。他院で手術を勧められた。セカンドオピニオン |
症状の概要
検査結果
症例は元気食欲ともに良好であり、現在際立った臨床症状は呈していない。
レントゲン検査及び超音波検査では4mm~0.1mm程度の数えることのできない数の細かい結石が膀胱内に確認された。
また、尿道内、陰茎骨基部にも結石が認められた。
その他、血液検査や腹部超音波検査では大きな異常は認められなかった。
短頭種であるということと、年齢的に手術をどうするかご家族と相談した結果、閉塞を繰り返すような状況を回避するために手術を実施することとした。
また、症例は以前より尿路結石用の食事を食べていたため、食事はそれを継続している。
治療方法
麻酔をかけ、膀胱を露出しているところ。
膀胱に切開を加え、内部の結石を摘出した。
途中カテーテルを用いて尿道内をフラッシュし、すべての結石が取り除かれたことをレントゲン検査で確認したのちに
膀胱の閉鎖と腹筋の閉鎖を行った。
今回の手術では将来的に前立腺疾患になることの予防目的として去勢手術も同時に行っている。
手術終了。
治療・術後経過
術創は感染も起こらずに良好に治癒している。
現在結石の種類を調べるために結晶解析を行っている。
今後、その解析結果に基づいて食事療法及び内科療法を行っていく。
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追記
検査結果の結果、結石はシュウ酸カルシウム1水和物:100%の結石であった。
経過良好
担当医:白井 顕治
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