🦴 TPLOとは何か?
TPLO(脛骨高平部水平化術)は、前十字靭帯が切れることで生じる膝関節の不安定性を、骨の角度を調整することで安定させる手術方法です。
脛骨の上部を専用のソーで円弧状に切り、角度を回転させてプレートで固定することで、前十字靭帯がなくなった状態でも膝にかかる前方への力が発生しにくくなります。
つまり、靭帯そのものを“修復する”のではなく、膝関節が安定して動ける構造に作り変える手術です。
🐾 どんな効果がある?
TPLOを行うことで、
膝関節のグラつきがなくなる
痛みが大幅に減少する
関節炎の進行が抑えられる
歩きやすくなる
手術後の回復が、他法に比べて早い傾向がある
などの効果が期待できます。
特に、小型犬から中型犬(3〜20kg台)では、歩行の回復が比較的早いとされており、散歩が好きなワンちゃんにとっては日常生活の質が大きく改善します。
実績詳細
ビーグル(15kg)の左前十字靭帯断裂に対するTPLO術(脛骨高平部水平化骨切術)
| 種類 | ビーグル |
|---|---|
| 年齢 | 14歳 |
| 診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
| 症状 | 散歩中に突然左後肢を痛がり始めた |
症状の概要
検査結果
左後肢の跛行を主訴に来院しました。触診では膝関節に腫れと強い痛みを認め、前方引き出し試験(クラニアルドロアサイン)および脛骨圧迫試験でいずれも明確な陽性反応が確認されました。
レントゲン検査では、膝蓋靭帯前方の脂肪パッドサイン(ファットパッドサイン)が顕著で、関節液の増量と急性の炎症を示す変化が見られました。
これらの身体検査および画像所見を総合し、左前十字靭帯の完全断裂と診断しました。
治療方法
左後肢に対して外科手術を実施しました。皮膚を切開し、膝関節包を開いて関節内の状態を確認しました。断裂していた前十字靭帯は残存組織を含めて丁寧に除去し、観察の結果、内側半月板に損傷が認められたため、損傷部位の処置を適切に行いました。
続いて、脛骨の角度を調整する TPLO(脛骨高平部水平化術) を実施しました。ラウンドソーを用いて脛骨を計画どおりに円弧状に骨切りし、骨片を適切な角度に回転させた後、TPLO用プレートを用いて確実に固定しました。
最後に創部を丁寧に閉鎖し、手術を終了しました。


治療・術後経過
手術後2日目には左後肢の接地が確認され、早い段階から歩こうとする様子が見られました。抜糸時(術後約1週間)には、ほぼ通常通りの歩行まで回復しており、年齢を考慮しても非常に良好な経過でした。今後は骨の癒合や歩行状態を継続的に確認しながら、無理のない範囲で生活の質を守っていく予定です。
担当医:白井 顕治
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