腫瘍が認められた場合には、原則として細胞診や生検を実施して腫瘍の種類(良性・悪性の区別や、腫瘍の由来など)を診断すべきである。しかし、根治的治療ではなく今回のような緩和療法を選択する場合には、必ずしも確定診断を実施する必要はない。
良性悪性を問わず凍結させた細胞は死滅し、腫瘍は減容積されるため、高齢犬であって、手術を実施する可能性がない場合には、このような方法も重要な手段となることが多い。
凍結処置は、クライオサージェリーと呼ばれることもあり、主に液体窒素を用いて行われることが一般的である。液体窒素を噴霧させるタイプ、綿棒で患部に押し当てるタイプ、液体窒素でデバイスを冷却し、そのデバイスを押し当てるタイプのものなど、様々なタイプの器具があるため、使用用途に合わせて選ぶ必要がある。
実績詳細
フラットコーテットレトリバーの体表腫瘤の凍結処置
種類 | レトリバー |
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年齢 | 15歳 |
診療科目 | 腫瘍科 |
症状 | 左ほほにイボがあり、出血している。 |
症状の概要
検査結果
イボは以前から認められていたもので、ゆっくりと大きくなっていた。
症例は高齢犬であるということと、出血をひとまず止めてあげたいというご家族の希望があったため、積極的にイボの細胞診などは行わずに
凍結処置(クライオ)を実施することによって縮小させる方法を選択した。
治療方法
周囲の毛刈りを実施して、液体窒素を用いて凍結処置を3回行った。
治療・術後経過
処置より10日ほど経過してから、腫瘤が40%ほどまで縮小し、出血が認められなくなった。
完全に消失させることではなく、縮小させ出血をコントロールすることが目的だったため、いったん治療をやめ、ここで経過を観察するものとした。
今後も拡大して出血するようであればその都度同様の処置を繰り返す予定である。
担当医:白井 顕治
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