角膜外傷はケンカや外傷によって引き起こされる。通常、感染が成立しなければ角膜の外傷は1週間ほどで速やかに修繕されるが、慢性的な刺激があったり、もともとドライアイなどの涙膜の異常があったり、細菌感染が成立してしまった場合には治癒が遅れ、病状が進行する。特に細菌感染が発生した場合には角膜実質が融解し、急激な融解が起こった場合には1日ほどで角膜穿孔を起こしてしまう場合もある。今回の症例のようなフレンチブルドッグを含む、チワワ、シーズー、ペギニーズ、ブルドッグなどの短頭種は単純な角膜外傷であってもより悪化しやすいため、速やかに動物病院を受診しましょう。
実績詳細
フレンチブルの感染性角膜融解
検査結果
症例は左目の耳側に円形の角膜潰瘍を形成していた。また、中程度の結膜充血・角膜充血を呈していた。
潰瘍の中央部は黄色であり、細胞診をしたところ、白血球と球菌が認められた。
また、稟告より、同居の猫に引っ掛かれたということであった。眼瞼を確認すると複数個所に瘢痕化が認められたため、猫の掻傷と、それによる角膜外傷、そして、適切な治療がされなかったため、感染性角膜潰瘍に進行し、感染により潰瘍部が融解した角膜融解と診断した。
さいですテストを実施したが陰性であるため、角膜穿孔は起こしていないと判断した。
治療方法
抗生剤の内服及び点眼、融解阻害薬、角膜保護剤の点眼を行うとともに、エリザベスカラーの装着を実施した。
治療・術後経過
治療開始4週間後
融解は治まり、充血や角膜浮腫も軽減された。融解が起きていた部分には角膜上皮の申請が起き、自覚症状として羞明や流涙も認められなかった。
今後は融解部分の角膜実質の瘢痕組織が吸収されていく過程を経過観察することとした。
担当医:白井 顕治
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