脾腫を伴う脾臓の髄外造血では、しばしば抹消血液中の貧血を呈することがある。原因は明らかとなっていないが、骨髄と比較して効率の悪い脾臓の髄外造血による貧血が起きていると考えられている。
脾腫と同時に貧血が認められた場合には、髄外造血による貧血や、脾臓型リンパ腫による免疫介在性溶血性貧血の存在などを疑う必要がある。
実績詳細
ポメラニアンの脾臓の髄外造血
種類 | ポメラニアン |
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年齢 | 6歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 術前検査で貧血が認められた。 |
症状の概要
検査結果
症例は整形外科手術を予定していたが、術前検査において貧血が認められたため、精査を行った。
その結果、重度の脾腫が発生していたため、脾臓の細胞診を実施した。
ーー以下細胞診所見ーーー
髄外造血が起こっており、全体像の評価は困難ですが、塗抹上に悪性所見は認められません。
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リンパ腫は除外されたが、脾臓リンパ節の腫大は認められた。
治療方法
貧血の原因が脾腫以外に認められないため、ご家族と相談した結果脾臓摘出を行うこととなった。
摘出した脾臓外観
摘出後。出血は認められない。
治療・術後経過
ーー以下脾臓病理組織所見ーー
摘出された脾臓では、顕著な髄外造血が起こっています。貧血が認められていることから、反応性の変化と考えられます。
検索した組織には、明らかな赤血球の貪食像や腫瘍性の病変は認められません。
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術後の定期健診で、術後14日後には貧血が有意に改善していた。
経過良好と判断し、現在経過観察中
担当医・執刀医:白井顕治
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