乳腺周辺にしこりが認められた場合には良性腫瘍である乳腺腫瘍や混合腫瘍の可能性、悪性腫瘍である乳腺癌、乳腺上に形成された皮膚由来の脂肪腫や肥満細胞腫などの可能性、乳腺炎など、腫瘍性病変ではない可能性、そして手術が禁忌とされる炎症性乳癌の可能性などが考えられます。乳腺炎など、腫瘍ではない可能性、そして手術禁忌な炎症性乳癌の可能性を排除するためにも、事前の針吸引生検は重要といえます。
また、乳腺腫瘍はリンパ管に沿って転移しやすい腫瘍です。切除領域についても、しこりのみを小さくとってしまったり、同時に避妊手術を行わなかったりすると、再発を繰り返したりすることがありますので、しっかりと計画をして手術を行うことが重要といえます。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの乳腺腫瘍
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 12 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | オッパイにしこりがる |
症状の概要
検査結果
症例は元気活発であったが、腹部に複数のしこりがあった。
針吸引生検を実施した結果、乳腺腫瘍が強く疑われたため、手術を行うこととした。
治療方法
本症例は卵巣子宮が残っていたため、併せて卵巣子宮摘出も実施した。
卵巣子宮摘出後
次いで、しこりのある左尾側乳腺と、右頭側乳腺の切除を行い、一つの術創として閉創を行った。
治療・術後経過
術創は感染を起こすことなく、良好に治癒した。
ーー以下病理所見ーー
摘出された乳腺では、複数の部位に結節性の腫瘍が形成されており、いずれも良性の乳腺腫瘍と診断されます。腫瘍の境界は明瞭で、周囲組織への浸潤性は認められません。鼠径リンパ節にも腫瘍性の病変は認められず、摘出状態は良好で、広範囲の切除が行なわれていることから、今回の切除により予後は良好と考えられます。
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その後は再発をすることもなく、経過良好であった。
担当医:白井 顕治
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