未去勢のオスに起こりやすい疾患はいくつか存在するが、今回のようにそれらが同時多発的に発生していることもある。全身状態を加味して治療方法を選択する必要があるが、雄性ホルモンに起因する疾患の場合には、通常は去勢を実施することによって良好な予後が得られる。
会陰ヘルニアに関しては症例のヘルニア孔の大きさ、周囲の筋肉の萎縮具合などの程度により、重症度は異なる。再発する可能性がある疾患であることを念頭に置き、手術だけに頼らず、きちんと術後も内科によるフォローアップを続けていくことが再発防止の観点から重要である。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの会陰ヘルニア
種類 | ミニチュアダックス |
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年齢 | 12才 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 消化器科 |
症状 | 血便と血尿が出る |
症状の概要
検査結果
血便と血尿が出るという主訴で来院した。直腸検査では蛇行した直腸と、肛門右側が膨隆した外観を示していた。
レントゲン検査を実施し、右側の会陰ヘルニアと診断した。
血尿に関しては、触診及び画像診断の結果、前立腺肥大を起こしていた。血尿が出るタイミングや画像診断所見から、血尿に関しては前立腺からの出血の可能性が示唆された。
治療方法
会陰ヘルニアの手術を行う際に、併せて去勢手術も実施するのが通常の手順であるため、前立腺肥大及び会陰ヘルニアの整復のために、去勢手術・直腸腹壁固定・ヘルニア孔の閉塞を実施することとした。
治療・術後経過
乗法通りに去勢手術を実施した後に、開腹を行い直腸を左側腹壁に固定した。
次いで体位を伏臥位に変更し、ヘルニア部の切開、ヘルニア孔の確認を行い、メッシュを用いて閉孔した。
手術当日の夜から食事を開始し、数日後に退院した。
2日後には正常に排便を確認した。
血便及び血尿の症状は消失し、普段通りの生活を送れている。現在経過観察中。経過良好
担当医・執刀医:白井 顕治
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