ミニチュアダックスフントの多発性筋炎

症例は常に流涎しており、口腔粘膜及び周辺の皮膚が炎症を起こしていた。

症例がずっと水を飲んでいるのにもかかわらず、器から水分が減っていないことから、透視検査を実施すると、嚥下不全が認められた。

麻酔下で口腔内の清掃及び精査を実施し、委縮した舌や炎症を起こした頬粘膜を確認した。

一部を組織生検して病理検査を実施した。

ー－－以下病理所見ー－

舌では、顕著な筋肉の減少と間質の線維化が起こっています。残存する領域では、小型のリンパ球の浸潤が起こっており、慢性の筋炎が起こっていると考えられます。筋炎の原因は不明ですが、多発性筋炎などが鑑別に挙げられます。全身的な疾患と考えられることから、その他の部位の筋肉の状態も精査をお勧めします。
頬や口唇粘膜には、慢性の炎症が起こっていますが、明らかな上皮細胞の傷害は認められず、物理的な刺激により引き起こされた変化と考えられます。

ー－－－

多発性筋炎は自己免疫性疾患であるため、ステロイド剤を中心とした免疫抑制療法を実施した。

治療開始後、嚥下機能が改善されていき、栄養状態や口腔周囲の粘膜や皮膚の状態も改善されてきた。

継続的な内科療法を実施し、経過観察していくこととする。

担当医：白井　顕治