ポリープは粘膜表面から突出する腫瘤性病変の総称であり、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられる。炎症性ポリープは非腫瘍性ポリープに分類され、中高齢のオスのミニチュアダックスフントに好発し、血便やしぶりなど、大腸性下痢の症状を呈する。ポリープの形状によっては肛門からポリープが脱出することもある。診断にはそのほかの疾患を除外する目的も含めて、病理組織診断が必須となる。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの炎症性結直腸ポリープの治療
検査結果
一般身体検査では体重減少もなく、元気食欲ともに良好だった。
粘血便が認められたが、便検査では寄生虫は検出されなかった。
直腸検査では直腸腹側にわずかな不整が触知された。
年齢や犬種、症状より中高齢のミニチュアダックスフントに好発する炎症性結直腸ポリープを疑ったため、下部内視鏡検査を実施した。
肛門より5センチ程度の部位から不整な粘膜面が観察された。
盲腸・回腸には著変は認められなかった。
内視鏡下生検を行い、病理診断を行った。
内視鏡探索動画
ーーー以下病理診断コメントーーーーーーーーーーーーーーー
検索した複数の大腸では、1ヶ所において、粘膜における陰窩の拡張と炎症反応が起こっており、近年ミニチュアダックスフントに好発している炎症性ポリープと診断されます。この病変は非腫瘍性の病変ですが、しばしば多発することや腫瘍への転化を示します。今回検索した組織では、明らかな腫瘍性の病変は認められませんが、多発傾向や病状の進行について注意が必要です。
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以上より、炎症性ポリープと診断した。
治療方法
肉眼所見より、ポリープ性病変がまだ小さいため、内科療法を行うこととした。
ステロイド剤と高線維食を行った。
治療・術後経過
症状は治療開始後ただちに改善された。
ステロイド剤を漸減した結果、ある一定量まで減らすと症状が再発してしまうため、内服を継続している。
現在良好に維持管理できている。
担当医:白井 顕治
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