実績詳細

ミニチュアダックスフントの脾臓に形成された血腫

種類 ミニチュアダックスフント
年齢 1歳
診療科目 軟部外科・整形外科 腫瘍科 
症状 血尿が出た。元気がない

症状の概要

今回の症例では、血尿という主訴であったが、手術が必要になるという病態の疾患であった。全体から言えばまれなケースではあるものの、検査を実施せずに血尿が出たから膀胱炎であると仮診断を行った場合には、血腫の破裂によって症例の命が危険にさらされた可能性もある。そのため、可能であれば検査を行い診断をより確実なものとすることが重要である。
今回の症例では、おそらく血腫が形成され、溶結することにより、一過性に血色素尿は排泄、その後はすぐに溶血成分は排泄されたため、黄色の尿が出た。血腫が形成されたため、腹痛により元気消失が起きていたと考えられる。

検査結果

血尿という主訴で来院した。

 

左の茶褐色のものが昨晩出たもので、右の黄色いのは今朝出たということだった。

 

 

膀胱炎の有無を確認するため、エコー検査を実施したところ、脾臓に直径3センチほどの腫瘤を確認した。

 

今回の茶褐色の尿はペットシーツに吸い取られてしまっているため検査ができなかったが、実際には血色素尿であった可能性が考えられた。

 

また、元気がややないということも主訴としてあったが、この腫瘤が偶発的に発見されたものか、主訴と関連しているかが分かたなかったため、消炎剤と抗生剤を2日間内服し経過観察を行った。

 

 

その結果、腫瘤はやや拡大傾向を示したため、手術により脾臓摘出を行うこととした。

 

 

治療方法

 

術前から、腹腔内腫瘤の影響で腹壁が隆起していることがわかる。

 

脾臓に形成された腫瘤を認めた。

 

 

 

脾臓摘出を行い、閉腹した。

(本病態とは関連がないが、併せて卵巣子宮摘出を実施した。)

 

 

ーーーーーー以下病理所見ーーー

 

脾臓の腫瘤部から複数の組織を検索しましたが、腫瘍性病変は認められません。血腫部は嚢胞状を呈しており、物理的な刺激や、脆弱化した領域に何らかの原因で出血が惹起された病変と推察されます。

ーーー

治療・術後経過

腫瘤は腫瘍性病変ではないため、予後は良好と考えられる。

 

症例は順調に回復し、治療終了とした。

 

 

担当医・執刀医:白井 顕治

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