犬における精巣腫瘍は比較的まれな部類である(停留睾丸による発生を除く)。良性・悪性どちらも存在し、中には混合腫瘍のこともある。悪性のものの中には転移を速やかに起こしてしまうものもある。
腫瘍の種類によって、反対側は萎縮したり、両側が腫れたり、反対側は通常と変化がない場合もある。また、腫大しているからといって必ずしも腫瘍ということではなく、精巣炎などによって腫れていることもあるため、診断には注意が必要である。
実績詳細
ラブラドールレトリバーの精巣腫瘍(ライディッヒ細胞腫・精上皮腫)
種類 | ラブラドールレトリバー |
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年齢 | 11歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 睾丸がとても大きく腫れている。 |
症状の概要
検査結果
身体検査において、症例の左睾丸は対側と比較して顕著に腫大していた。
腹部超音波検査や胸部レントゲン検査において転移兆候など確認されないため、摘出手術を実施することとした。
治療方法
麻酔下において常法通り左右の精巣を切除した。
腫瘍性病変ではあるが異常な血管新生は起きていなかった。
治療・術後経過
ーー以下病理組織所見ーーー
腫大した左精巣では、ライディッヒ細胞由来の腫瘍が認められます。ライディッヒ細胞腫は精巣腫瘍の中でも良性の腫瘍に分類される腫瘍です。また右精巣には初期の精上皮細胞由来の腫瘍が認められます。
いずれの腫瘍も、精巣内に限局しており、摘出状態は良好です。今回の切除により予後は良好です。
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術創は正常に治癒した。
病理組織検査的にも悪性所見は乏しく切除状態も良好なため、予後は良いと判断された。
現在経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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