犬、および猫において左右両側の乳腺の切除が必要であると考えられる場合には、間隔(通常1~2カ月程度)をあけて2回の手術に分けて行う。同時に行うと皮膚欠損が大きく、皮膚の癒合不全を起こしたり、術後の呼吸不全を引き起こす原因になるためである。
また、研究団体の報告により些少の違いが認められるものの、現在では犬および猫の乳腺腫瘍については同時に卵巣と子宮の切除を行うことが主流となっている。術前にご家族と獣医師でよく話し合い、治療計画を立てていきましょう。
実績詳細
乳腺腫瘍の第二手術(コーギー)
種類 | コーギー |
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年齢 | 11 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 乳腺腫瘍の術後2カ月が経過したため、残りの乳腺を切除する第二手術の実施 |
症状の概要
検査結果
第一手術後は元気食欲も改善され、散歩中の歩行にも活力を感じられるようになったとのこと。
残っている乳腺腫瘤は大きさの変化はしていない。本人も気にしていなかった。
第一手術と同様に麻酔前検査を行い、腫瘤を含めて残る左側乳腺の切除を行う予定を立てた。
治療方法
剃毛後に触知される腫瘤は第2乳腺部の腫瘤のみであった。
病理診断では第五乳腺内に肥満細胞腫が発見されている。
乳腺を二分し、上半分とした半分を分けて切除することにより切除時間を大幅に短縮する。
乳腺切除後は皮膚欠損が大きいため、再建手術を行うが、腫瘍の術中転移を防止するために新しい手術器具を用いて再建手術を行う。
縫合後の術創および切除した乳腺
以下病理所見ーーー
乳腺では、左2乳腺部に悪性の乳腺腫瘍が形成されています。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部やリンパ管内に腫瘍細胞は確認されません。摘出状態は良好ですが、形態的には悪性の腫瘍であることから、腋窩リンパ節の状態について経過観察をお勧めします。左2、3、4乳腺では、複数の結節が形成されていますが、いずれも良性の腫瘍と診断されます。これらの腫瘍に関しては摘出状態は良好で、今回の切除により予後は良好です。
左5の皮膚の腫瘤はグレード1の肥満細胞腫と診断されます。腫瘍は真皮内に限局しており、マージン部に腫瘍細胞は認められません。摘出状態は良好で、今回の摘出により予後は良好と考えられます。
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治療・術後経過
術部に感染も起きずに、良好に治癒した。
経過良好
担当医:白井 顕治
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