ペットにおける大動脈血栓塞栓症は犬と比較するとネコに多く、肥大型心筋症に伴って形成された血栓が今回の症例と同じ後大動脈分岐部に塞栓することにより急性のマヒと痛みを主訴に来院します。血栓塞栓症としてはこの部位に起こることが多いですが、前肢や腹腔内のその他の血管に詰まり、同じく急性の症状を呈することもあります。犬においては前述の通りに心臓疾患以外にも血液疾患や腫瘍性疾患、内分泌疾患やタンパク量出性疾患などの凝固亢進状態が形成されるような病気に併発して起こることが知られています。
後躯麻痺ということで椎間板ヘルニアと誤診されてしまうことがまれにあります。
実績詳細
柴犬の大動脈血栓塞栓症
種類 | 柴犬 |
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診療科目 | 呼吸・循環器科 |
症状 | 突然の後躯麻痺、強い痛み |
症状の概要
検査結果
症例は突然の後躯麻痺で来院した。
身体検査を実施したところ、直腸温の低下(38.1度)、両後肢の冷感、股動脈圧触知不能という所見が認められたため、大動脈血栓塞栓を疑った
超音波検査を実施したところ、後大動脈分岐部におよそ5センチにわたり血栓が塞栓していた。
閉塞は完全ではなく、わずかな血流が残っていることが確認された。
血栓症の原因としては心疾患や血液疾患、腫瘍性疾患が通常疑われるが、この症例に関しては軽度の弁膜症のみでそのほか血栓の原因となるものは診断時には認められなかった。
そのため、血栓形成の原因が不明であった。
治療方法
血栓溶解および鎮痛を行った。
治療・術後経過
現在経過観察中
担当医:白井 顕治
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