通常悪性腫瘍は発見されてから2-3か月で急激に進行することがほとんどであるが、一部の肝細胞癌や肥満細胞腫などは、診断されてから非常に緩徐な経過をたどるものもある。あくまで一般論でいえば、半年以上のような長期間存在していて、大きさが大して変化していないようなしこりは良性である可能性が高いが、本症例のように悪性腫瘍である可能性もあるため、経過を観察する前には細胞診を行うことが重要であるといえる。
実績詳細
柴犬の肥満細胞腫
検査結果
症例は前胸部に直径3~4センチほどの有茎状のしこりがあった。
しこりは数年前から存在し、他院にて良性のものであるといわれ経過観察をしていた。
(細胞診、未実施)
本人が気にして引っ掻いてしまうことにより、腫瘤から出血してしまっているということが主訴であった。
ご家族と相談し、まずは細胞診を行ったところ、肥満細胞腫(c-kit変異なし)と診断された。
治療方法
治療方針を相談したところ、まずは外科的に切除することとなった。
水平方向に3センチのマージンと、垂直方向として前胸筋を摘出した。
腋窩部の皮膚を使用して皮膚弁を形成し、手術終了とした。
治療・術後経過
手術2週間後
手術1か月後
術部は良好に生着した。
病理診断は肥満細胞腫グレード2であった。
ご家族と相談し、追加の抗がん剤治療は行わずに経過観察を続けるということとなった。
現在経過観察中
担当医:白井 顕治
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