実績詳細

柴犬の胃小弯部に発生した平滑筋腫

種類 柴犬
年齢 9歳
診療科目 軟部外科・整形外科 消化器科 腫瘍科 
症状 食欲がない。元気がない

症状の概要

消化管に発生する悪性腫瘍としては、リンパ腫や腺癌、肉腫やGISTなどがあげられる。
今回の腫瘍は良性の腫瘍であったため手術単独で治療を行っているが、悪性腫瘍であった場合には、術後に補助治療として化学療法が選択される可能性がある。

検査結果

症例は普段は食欲旺盛で元気闊達な性格の仔であったが、食欲が低下し、吐血や下血が認められたため、精査を実施した。

 

その結果、胃と肝臓の間に大型の腫瘤が認められ、腹膜炎所見が確認された。

 

エコー上では胃壁由来の腫瘤のように見えたが、原発部位の確認と、摘出可否の決定、そのほかの疾患の検索のためCT撮影を行うこととした。

 

その結果、胃の小弯部に発生した腫瘤性病変であることが分かった。また、細胞診を行った結果、リンパ腫ではないことが分かったため、ご家族と相談した結果手術を行うこととなった。

 

治療方法

腫瘤を確認後、癒着をはがし、体外へ牽引している

周囲の血管及び神経の温存をするため、慎重に切開を進めていく

 

切除後。胃の内容が見える

 

切除後の腫瘤

縫合後の胃

 

 

腹壁及び皮膚を閉鎖して手術終了となった。

治療・術後経過

症例は、術後より食欲が改善したため、流動食から開始し、胃の運動性の改善を確認しながら徐々に食べ物の方さを普段通りに戻していった。

 

ーーー以下病理所見ーーー

 

摘出された胃の腫瘤は、平滑筋由来の良性腫瘍と診断されます。
腫瘍の境界は明瞭で、マージン部に腫瘍性病変は認められません。悪性所見は認められず、今回の切除により予後は良好と考えられます。

 

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病理検査結果より、良性の腫瘍であり、切除状態も良好であることから、治療終了とした。

 

担当医・執刀医:白井 顕治

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