脂肪腫は全身のどこにでもできることがある軟性の腫瘤で、ほとんどの場合は存在していても自覚症状はありませんが、拡大して神経を圧迫すると不快感や痛みを呈する場合もあります。また、今回の症例のように腫瘍の中に間葉系細胞が混ざりこんで増殖することもあり、その場合には繊維脂肪腫、筋脂肪腫、血管脂肪腫と組織診断される場合もあります。
実績詳細
柴犬の臀部に発生した繊維脂肪腫の摘出
検査結果
1年ほど前に、臀部にしこりが触知されたため、針吸引生検を実施したところ脂肪腫疑いということで経過観察をしていた。
ここ数カ月で拡大傾向にあったため、再度針吸引生検を実施したところ、やはり脂肪腫互いという結果が得られた。
ーーー以下細胞診結果ーーー
2箇所いずれの腫瘤からも、異型性に乏しい脂肪細胞が得られており、脂肪腫が疑われます。脂肪腫は良性の腫瘍性病変ですが、筋肉内へ浸潤することがあり、また脂肪腫も発生部位や大きさによっては日常生活に支障を来すことがあります。
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治療方法
本症例の脂肪腫は肛門を軽度に圧迫しており、今後拡大を続けると排便に支障がきたす可能性が示唆されたため、細胞診の結果を受けて、切除を行うこととした。
手術前に毛刈りを行ったところ
肛門の左側の一部癒合しているピーナッツ型の二つの腫瘤が今回摘出予定の腫瘤である。
周囲の筋間に癒着し、靭帯にも強固に固着していた。
摘出された腫瘤
ーーー以下摘出された腫瘤の病理組織検査所見ーーー
摘出された皮下の腫瘤は、線維脂肪腫と診断されます。腫瘍は分化の高い脂肪組織から成り立っており、採取された組織では、明らかな浸潤性は認められません。今回の切除により予後は良好である可能性が高いと考えられますが、腫瘍の境界はやや不明瞭となっており、非常に大型の腫瘍が形成されていたことから、念のため、局所の状態について経過観察をお勧めします。
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治療・術後経過
術部の感染もなく、経過は良好である。
現在、術部を定期的に観察している
経過良好
担当医:白井 顕治
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