一般的にはリンパ腫の診断自体は困難なものではなく、腫大している組織に針を刺すことでリンパ腫を診断もしくは疑うことは十分にできる。診断後は、ほかの臓器への転移の状況やクロナリティーを検査し、詳細についての診断を行い、効果が高いと考えられる抗がん剤の種類や、それを使用したことで得られるであろう治療効果についてがわかっていきます。
癌は治らないという考えが根強いですが、リンパ腫は抗がん剤によって治癒できる可能性も少なからずあります。また、治癒しないまでも、本人がつらくないように長期間にわたり癌と付き合っていくメトロノーム療法などもあるため、診断されたと同時に治療をあきらめずに、治療を相談していきましょう。
実績詳細
消化管型T細胞型リンパ腫に罹患したミニチュアダックスフント
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 腫瘍科 |
症状 | 食欲がなくなり、嘔吐し始めた |
症状の概要
検査結果
症例は数日前まで無症状で元気であったが、急に食欲がなくなってしまったということで来院した。
一般身体検査所見としては発熱が認められたものの、それ以外に異常は認められなかった。
また、血液検査においてはCRPの軽度の上昇が認められるのみだった。
腹部超音波検査を実施したところ、十二指腸周辺の腸間膜リンパ節の顕著な腫大が認められたため、超音波ガイド下針吸引生検を実施した。
ーーー以下針吸引生検所見ーーー
得られているリンパ系細胞には大小の細胞が混在していますが、中型や大型の細胞が優位で、核分裂像も比較的多いことから、大細胞性(低分化型)のリンパ腫と考えられます。
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また、クロナリティー検査を実施したところ、T細胞のクロナリティー上昇が認められた。
診断
消化管型T細胞型リンパ腫(高悪性度)
治療方法
針吸引生検の結果が出るまでの1週間、補助療法としてステロイド剤の内服を行っていた。
症例は元気活発に回復していた。
ご家族と相談した結果、ステロイド剤の内服のみを継続し、その後に起きる症状に対しては対症療法を行っていくこととした。
治療・術後経過
経過観察中であるが、高悪性度の腫瘍であるため予後は不良であることが考えられる。
担当医:白井 顕治
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