肝細胞癌は犬に比較的よく認められる悪性腫瘍である。超音波やCTでは様々な形状を呈するため、良性・非腫瘍性病変の結節性過形成との区別を行うことはできない。一部の診療機関では造影超音波検査などが診断に有用である可能性を報告しているが、一次診療施設には浸透していない診断方法である。肝臓や脾臓の腫瘤は、良性・悪性にかかわらず、破裂の危険性が伴うため、手術が推奨される。大きくなるまでは症状が出ずに、定期検診や「お腹が張ってきた」ことによって気づかれることが多い。
実績詳細
トイプードルの肝細胞癌
検査結果
症例は胆泥症の定期検診のために腹部超音波検査を受診した。
検査を行ったところ、肝右葉由来と考えられる直径4センチほどの腫瘤を確認した。
4~6か月おきに敵検診の超音波検査を行っているが、前回の検査時には腫瘤性病変は認められていない。
組織学的診断を下すため、鎮静下で腫瘤に対してTru-cut生検を行った。
ーーー以下病理検査所見ーーーーー
採取された肝臓は、tru-cutであり、組織構造の把握が困難ですが、個々の肝細胞の分化は高く、明かな悪性所見は認められません。また一部では胆管構造が確認され、組織構造は保たれていると考えられることから、結節性過形成の可能性が高いと考えられます。しかし、検索した組織は一部であり、確定診断が困難であることから、腫瘤の増大傾向があるようであれば、組織の切除生検をお勧めします。
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治療方法
以上より、結節性過形成と診断をし、手術を受けるために東京大学付属動物医療センター:外科への紹介を行い手術を行っていただいた。
治療・術後経過
肝右葉の摘出を行い、病理検査を行った結果、肝細胞癌という診断が下った。
切除は良好であり、現在再発の有無を確認するための定期検診を行っている。
担当医:白井 顕治
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