猫の尿路閉塞は、典型的には去勢を行っている中年齢程度(6歳以下程度)の、肥満傾向にある雄猫に多く認められますが、今回の症例のように、閉塞する原因が言ったり、若いころから慢性的に閉塞を繰り返したりしている場合では中高齢になっても閉塞を発症することがあります。
閉塞した場合の典型的な症状としては、トイレに何度も通う、トイレで力んでいる時間が長い、排尿痛がある、力んだ後に嘔吐をする、力んでいる割に尿が全く出ていないか、もしくはごくわずかしか出ていない、陰部周辺が尿で濡れている、陰部周辺や腹部をなめている、元気消失、食欲低下などがあげられる。もちろんこれらの症状すべてを呈することはほぼなく、この一部であったり、中にはこの中の一部と、ここには書かれていない症状を示すケースもある。
いずれの場合であっても、尿路閉塞は非常に緊急性の高い状態であるため、疑われた場合には速やかに動物病院を受診する必要がある。
実績詳細
猫の尿路閉塞に対する会陰尿道造瘻術
種類 | アメリカンショートヘアー |
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年齢 | 11歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 泌尿器科 |
症状 | 尿が出にくいことが多い |
症状の概要
検査結果
症例は陰茎部分で尿路閉塞を複数回起こしていた。
繰り返す尿路閉塞の影響で腎機能は低下し、IRIS分類で慢性腎不全グレード2~3であった。
また、閉塞の原因なのか結果なのかは判別することができなかったが、慢性の膀胱炎を患い、膀胱粘膜の壊死を起こしていた。
治療方法
一時的なカテーテル設置のみで治療を行いたびたび再発していたため、手術の必要性をお伝えしたが、腎障害が生じている状態で手術を実施するかどうかが治療の方向性を決めるうえで難しい選択であった。
相談を重ねた結果、尿路閉塞に対する不安を除去するため、会陰尿道造瘻術を実施することとなった。
治療・術後経過
伏臥位(うつぶせ)に保定し、手術を実施した。
手術直後
手術2週間後
術創は良好に治癒したため、カラーを外し治療終了とした。
現在排尿に関しては、スムーズに行えている。
経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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