猫においては心筋症、特に肥大型心筋症が比較的多くみられるが、その多くは無症状のまま経過し、いわゆる「隠れ心筋症」として存在する。中高齢になると、輸液やステロイド投与などによる心負荷の増大を契機に、急性心不全や肺水腫、血栓塞栓症が顕在化することがあるため注意が必要である。診断には心エコー検査が最も有用であり、NT-proBNPなどの血液マーカーもスクリーニングに役立つ。無症状期には原則として積極的治療は行わないが、左房拡大や血栓リスクがある症例では抗血小板薬の予防投与が考慮される。顕在化した場合には酸素吸入、利尿薬、血管拡張薬などによる急性期管理を行い、長期的には症例に応じた薬物療法を検討する。臨床現場では、リスクを抱えた中高齢猫に対して、輸液やステロイドを使用する際に心筋症の存在を念頭に置き、事前の心臓評価を行うことが推奨される。
実績詳細
過剰輸液によって心不全を発症した猫
検査結果
症例は他院にて膵炎の治療中だったが、
点滴をしているうちに呼吸促拍の症状が認めらえ当院へ転院された。
レントゲン及び超音波検査において容量負荷性の心不全を認め、胸水・腹水の貯留が認められた。
同時に、膵臓付近に腹膜炎所見と十二指腸の弛緩増が得られており、膵炎の治療中に、真菌症による心不全が容量負荷性に顕在化した可能性があると判断した。
治療方法
治療・術後経過
利尿剤及び強心剤によって容量負荷性の心不全の改善を試み、改善するか経過観察を行っていくこととなった。
担当医:白井 顕治
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