実績詳細

雑種犬に発生した右眼の虹彩メラノーマ

種類 雑種犬
年齢 10歳
診療科目 軟部外科・整形外科 眼科 
症状 他院にて、眼内の腫瘍を疑われた

症状の概要

メラノーマ(悪性黒色腫)は、メラノサイトが由来の悪性腫瘍であるが、発生する部位によって悪性度が異なることが知られている。一般に口腔内に形成されたものは転移率や予後があまりよくない。目に発生した場合、通常であれば細胞診や組織検査を実施して診断を行うべきであるが、現実的に行うことができないため、眼球摘出後に病理検査によって診断を行っている。今回のように初期に取り切れれば、通常は予後は良好となるが、進行すると腫瘍が拡大し、緑内障の悪化とともに角膜穿孔や眼球破裂が生じ、眼球内から黒色の腫瘤が出てきてしまうといったことも起こる可能性があるため、発見された場合には速やかに対処してあげたい腫瘍の一つであるといえる。

検査結果

症例は右眼の眼圧が高く(33mmHg)、観察すると、内眼角方向の虹彩が膨隆していることが確認された。

 

 

眼エコー検査を実施したところ、虹彩からぶどう膜に沿って腫瘤性病変を認めたため、眼圧の上昇の原因は眼内の腫瘍であることが示唆された。

 

左目の眼圧はやや低下していた。

 

 

治療方法

眼内の腫瘍が疑われ、かつ、続発性緑内障が発生していたため、手術により眼球を摘出することとした。

 

術前と、眼球摘出後の写真

陥凹が生じないよう、縫合糸でメッシュを形成して閉鎖を行った。

 

 

 

摘出した眼球と、術後の外観

 

 

 

治療・術後経過

術後2週間で、患部の腫脹は収まり、抜糸を行った。

 

ー-以下病理検査所見ー-

右眼球の病変は、悪性黒色腫と診断されます。腫瘍は、虹彩を主体として形成されており、マージン部、脈管内に腫瘍性の病変は認められません。摘出状態は良好で、今回の切除により予後は良好である可能性が高いと考えられます。

ー--

 

摘出状態が良好であるということから、いったん治療終了として、経過観察を続けることとした。

 

担当医・執刀医:白井 顕治

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