ステロイド剤はアレルギー性皮膚疾患の治療をする際に、かなり高い頻度で使用する薬剤であるが、過度に使用をすると皮膚組織の萎縮を起こし、バリア機能を低下させることによりかゆみや炎症をより誘発させてしまうステロイド皮膚症という状況になってしまう。また、アレルギー性皮膚炎になっている症例の皮膚バリア機能はもともと弱いため、細菌やマラセチアなどの微生物が過増殖を起こすことによって皮膚病を悪化させる場合がある。その際にはステロイド剤やシクロスポリンのような免疫抑制剤のみの使用ではかゆみや皮膚の状態をコントロールすることができないため、適切な抗菌薬・抗真菌薬の使用が重要となる。
実績詳細
雑種犬のステロイド皮膚症
検査結果
症例は以前より体表をかゆがる症状を呈し、症状が出るたびに近医にて注射を受けていたということであった。
問診より、注射しているものは長期作用型のステロイド剤であることが分かった。
診察時、腹部、腋窩、股の部分に皮膚の菲薄化、痂疲、膿皮症を認めた。また、テープストリッピングによりマラセチアを確認した。
診断
アトピー性皮膚炎、ステロイド皮膚症、マラセチア性皮膚炎
治療方法
ご家族と治療内容を相談した結果、
内服薬としてオクラシチニブ
外用剤として保湿剤
シャンプー剤として抗真菌成分の入ったシャンプーと、保湿成分に富んだシャンプーを処方した。
治療・術後経過
治療開始2か月後、菲薄化した皮膚の厚みは正常程度まで改善し、被毛も生えた。
かゆみの程度も許容範囲内となっているため、今後も継続して管理していく。
経過良好
担当医:白井顕治
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