乳腺には類骨の細胞が含まれているため、その細胞が腫瘍化することもある。これらが由来の腫瘍で良性のものでは、良性乳腺混合腫瘍と呼ばれることもあり、それが時間経過とともに悪性化し、乳腺の細胞が悪性化したものは乳腺癌へ、類骨由来の腫瘍が悪性化したものは今回の症例のように骨肉腫となる。
一般的な長幹骨に形成される骨肉腫と比較すると悪性度は低いことが多い。
実績詳細
雑種犬の乳腺に発生した骨肉腫
種類 | 雑種犬 |
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年齢 | 15歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 乳腺の腫瘍がとても大きくなってしまった 症例は数年前から乳腺にしこりを保有しており、他院にて経過観察をしていた。 破裂してしまったので何とかしてほしい |
症状の概要
検査結果
症例は左最後乳腺付近に非常に大型の腫瘤を有していた。
自壊して排液しており、本人も気にしてしまっていたため、ご家族と相談し、細胞診や生検を省略して切除手術をすることとなった。
治療方法
全身麻酔下にて鼠経リンパを含めて切除を実施した。
症例はクッシング症候群にも罹患していたため、皮膚が脆弱になっていたが、問題なく癒合することができた。
治療・術後経過
以下病理所見ー--
摘出された左最後位乳腺部では、悪性の非上皮性腫瘍が形成されています。腫瘍内には類骨の形成が認められることから、乳腺由来の骨肉腫と診断されます。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部やリンパ管内、鼠径リンパ節には腫瘍性の病変は認められません。局所の摘出状態は良好と考えられますが、非常に大型で悪性度の高い腫瘍であることから、引き続き、局所やその他のリンパ節、肺の状態について経過には注意が必要です。
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高齢であることから、再発とともにそのほかの内分泌疾患などの基礎疾患のコントロールを行っていくこととした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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