実際の肛門の周りはもちろん、尾の根本、尾の背側にも肛門周囲腺はあります。その腺が由来の良性腫瘍が肛門周囲腺腫で、悪性腫瘍が肛門周囲腺癌となります。肛門周囲腺腫は雄性ホルモンに誘発されて形成されるため、未去勢の雄犬、中年齢から高齢にかけてよく認められる腫瘤です。
一方、肛門周囲腺癌は去勢済みの犬や雌犬にも発生します。未去勢の犬もふくめ、去勢済みの雄犬や雌犬において肛門周囲にしこりが認められた場合にはより注意深く診断・治療計画を立てる必要があります。
実績詳細
雑種犬の肛門周囲腺腫および肛門周囲腺過形成
種類 | 雑種犬 |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 肛門に腫瘤ができていて、出血している |
症状の概要
検査結果
症例は未去勢犬である。肛門周囲に直径1センチほどのしこりがあり、気にしてなめている。また、患部から出血している。
未去勢であるということと、形状から、肛門周囲腺由来の良性腫瘍である肛門周囲腺腫が疑われた。
細胞診の実施を提案したが、出血がひどいため、まずは切除してほしいという希望が強かったため、去勢と合わせて腫瘤の切除を実施した。
治療方法
肛門右下の腫瘤とともに、右上の皮内に認められた腫瘤も併せて切除を行った。
切除後
腫瘤と合わせて、睾丸も摘出し手術終了とした。
ーーー以下病理所見ーーー
摘出された肛門周囲の病変は、肛門周囲腺由来の良性腫瘍と診断されます。肛門周囲腺腫は去勢を行っていない雄イヌにしばしば認められる腫瘍です。
腫瘍は多結節状を呈していますが、個々の腫瘤の境界は明瞭で、マージン部には腫瘍性の病変は認められません。周囲の腺組織は過形成を示していますが、去勢も同時に行われていることから、今回の摘出により予後は良好と考えられます。
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治療・術後経過
術後は良好に警戒し、病理所見からも、良性であったため、予後は良好と考えられる。
治療終了とした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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