口腔内のしこりに対しては、針吸引生検では正確な診断は得られにくい。また、腫瘍に対して一部を切り取るような手技を実施する場合には、皮膚を介してではなく口腔粘膜面からアプローチすることが原則となっているため、麻酔下での検査が必要となる。
唾液腺癌は犬及び猫での発生は稀な部類の悪性腫瘍である。
実績詳細
雑種猫の唾液腺癌
種類 | 雑種猫 |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 下顎が腫れてる |
症状の概要
検査結果
右下顎が腫れているという主訴で来院。
外見上、顔貌が変形するほど腫れているが、食事は問題なく取れており、口腔粘膜の炎症は認められなかった。
腫瘤である場合には口腔内病変であるため、針吸引生検の適応外となる。
そのため、非ステロイド、およびステロイド系の薬剤や抗生剤の試験的使用を行い変化を見たが腫瘤の大きさは変化しなかった。
また、レントゲン写真を撮影したところ、顎骨の軽度融解が認められたため、腫瘍性病変を疑い麻酔科で切除生検を実施することとした。
治療方法
麻酔科で口腔粘膜から腫瘤に切開を加え、病変部を摘出し、病理組織検査を実施した。
ーー以下病理所見ーーー
摘出された右下顎の組織では、唾液腺由来の腫瘍が形成されています。悪性としていますが、細胞の異型性からは低悪性度の腫瘍と推察されます。 検索した組織では腫瘍の境界は比較的明瞭で、明らかな周囲への浸潤は認められませんが、最小限のマージンでの切除となっており、正常の組織は含まれていません。大型の腫瘤が形成されていることから、特に局所の状態について経過観察をお勧めします。
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治療・術後経過
切除生検を行ったため、マージンは最小限となっている。
ご家族と相談した結果、経過を観察していきたいという事でしたので、現在経過観察中
担当医:白井 顕治
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