ステロイド剤の使用について、全身投与と比較すると局所投与のほうが副作用の程度は低いものの、局所に副作用が生じることはある。耳の外側に塗布すると、外側の組織が萎縮することによって耳がアメリカンカールのように外反してしまう。これは一過性の副作用であるため、注視してから時間経過とともに改善される。また、皮膚糸状菌症については診断後、塗り薬や内服薬によって治療することができる。
実績詳細
雑種猫の耳介に発生した皮膚糸状菌症とステロイド皮膚症
検査結果
初診時、左右の耳は外反しており問診をしたところ、真菌に対する外用薬を塗布していたということから、ステロイド皮膚症による耳介軟骨の外反と判断した。
wood灯検査においては特に陽性の被毛は認められなかったため、糸状菌症は改善している可能性を考え、外用剤の塗布の中止と保湿剤の塗布を指示して経過を観察した。
治療方法
その後、次回の外反の程度はやや軽減したが、脱毛範囲が広くなったということだったので、再びwood灯検査を実施したところ、陽性被毛が確認されたため、皮膚糸状菌に対する内服薬の投与を行った。
治療・術後経過
投薬後、皮膚の炎症も治まり発毛が開始された。
また、ステロイドの外用剤を中止してから観察を続けていた耳介の外反も改善されたため、治療終了とした。
担当医：白井 顕治
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