肛門腺の破裂は犬と猫で比較的生じやすい病気である。なぜ発生するかは明らかになっていないが、肛門腺の粘度が上昇することによって排泄ができなくなり、破裂することが多いようである。また、肛門腺液の粘度は食べているものや体調によって変化するため、完全な予防方法はない。こまめに肛門腺を絞るという手段もあるが、当院においては1か月に一回肛門腺を絞っていたペットにおいても肛門腺破裂が認められたことがあるため、理想のケアを行う日数などは明らかではない。また、肛門腺絞りはすべてのペットに対して必須で行わなくてはならないということではなく、あくまで偶発的にこういった破裂が起こると考えられる。(野良猫やタヌキの肛門腺は誰も絞っていないですよね。)
肛門腺破裂は大きく分けて、肛門嚢の破裂、そして皮膚の破裂の2つに分けられます。この2つが起こる間が空けばあくほど、皮下組織の壊死が悪化し、より重症度が増します。
肛門腺が皮下で破裂すると強い痛み、発熱を生じ、元気食欲がなくなることが多いです。
皮膚表面が破裂するまで外見上では際立った以上が認められないことも多いため、しばしば発見が遅れてしまうこともある病気です。
実績詳細
雑種猫の肛門腺の破裂
種類 | 雑種猫 |
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年齢 | 8歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 肛門腺が破裂してしまっている |
症状の概要
検査結果
症例は数日前より元気食欲がなく、自宅で経過を観察していたが、肛門付近が濡れていることに気付いたため、来院した。
症例は検査に非協力的な性格であった。
〇外科的に肛門腺を摘出する
〇外科的に壊死組織の除去と患部洗浄のみで、その後は洗浄しつつ組織を挙げていく
〇何もせず、抗生剤と鎮痛剤と、カラー装着を行い自然治癒するのを待つ
の選択肢をご家族に提示したところ、壊死組織の除去と洗浄を選択されたため、麻酔下で壊死組織の除去を行った。
治療方法
すでに皮膚の一部が壊死し、内容物が出始めていた。
麻酔、毛刈り後の様子
破裂した肛門腺内を探索すると、非常に粘度の高い肛門腺液が確認された。
壊死組織を除去しているところ
除去終了
治療・術後経過
退院し、術部の洗浄とワセリン塗布を行い、通院治療にて治療を行った。
治療開始5日後
皮膚欠損が小さくなってきていることがわかる。感染も起きておらず、良好である。
治療開始11日後
皮膚が閉じている。
治療終了とした。
経過良好
担当医:白井顕治
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