体腔にヘルニアが起き得る場所としては臍、鼠径、大腿、会陰などがありますが、こういった場所の直上に脂肪腫が認められた場合にはヘルニアか脂肪腫かの判断が付きづらい事があります。ヘルニアである場合には陥頓などを起こし緊急手術の対象となることもあるため、早期に受診して診断しましょう。
また、脂肪腫は良性腫瘍の代表ともいえる腫瘍です。やせている仔と太っている仔と比較すると太っている仔にやや多く発生します。脂肪腫が形成されてからダイエットなどを行っても脂肪腫が縮小することは通常ありません。発見され針吸引生検(FNA)などで診断を行った後は経過観察をおこないますが、切除ガイドラインとして直径が5センチを超える場合や、まぶたや足底など、本人が気になってしまう場所に形成された場合には外科的摘出をお勧めしております。
脂肪腫は転移することはありませんが、多発傾向を示す場合には体表に1~20個ほど確認される場合もあります。
実績詳細
鶏卵大の脂肪腫の摘出
種類 | シュナウザー |
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診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 下腹部が腫れている |
症状の概要
検査結果
身体検査所見の結果、右鼠径部に鶏卵大の腫瘤を確認した。内容は脂肪の疑いがある事が超音波検査で明らかとなった。
経歴と腫瘤の部位より、鼠径ヘルニアを疑ったが、圧迫しても腹腔内に還納しないことから、脂肪腫の可能性もあると考えられた。
腹部超音波検査ではヘルニア孔は確認されなかった。
治療方法
右鼠径部に腫瘤を確認。
術前の外貌
脂肪腫とヘルニアの両方の可能性を疑い、腫瘤周辺部より剥離を行った。
腫瘤根部に浅後腹壁動静脈の腫瘤への流入を認める。
この時点でヘルニア孔は確認されず、また、腫瘤は独立しているため脂肪腫と判断した。
摘出された脂肪腫と鼠径リンパ節
切除後の様子。
ヘルニア孔は確認されない。
閉腹
治療・術後経過
術後一過性に術部に感染が生じたが、抗生剤感受性検査を行いそれに基づいた抗生剤療法を行った。
感染もコントロールされ完治した。
また、病理検査の結果、脂肪腫であることが確認された。
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