乳腺部に形成された腫瘤であっても、乳腺由来の腫瘍ではない可能性があることに注意が必要である。今回の症例は幸いまだ転移の兆候が認められなかったが、転移している場合には根治的な手術は行うことができず、緩和目的の手術となった可能性もある。
逆に言えば、大きくなってしまい、破裂してるからと言って必ず手術の適応外かといえば、今回の症例のように手術適応となることもあるため、しっかり検査して対応していくことが重要といえる。
実績詳細
15歳のミニチュアダックスフントの乳腺腺癌☑
| 種類 | ミニチュアダックスフント |
|---|---|
| 年齢 | 15歳 |
| 診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
| 症状 | 乳腺にできたしこりが、大きくなって破裂してしまった。 |
症状の概要
検査結果

症例は恒例の未避妊メスのダックスであった。数カ月前から、下腹部にしこりがあることは知っていたが、年齢的に経過を観察していた。
今月に入ってから、しこりが急速に拡大し、自壊し始めてしまったということで来院された。
麻酔前検査を実施したところ、軽度の貧血が認められるの見て、肝臓や腎臓、心臓の機能不全は認められなかった。
また、腹腔内リンパ節や肺を調べたが、転移の兆候は確認されなかったため、手術を行うこととなった。
治療方法

術前の様子

避妊手術後、右乳腺の切除領域を決定した。

右の変則乳腺切除と同時に、左乳腺にも4か所、小さめのしこりが触知されていたため、合わせて摘出した。

縫合後
ーー以下病理検査所見ーー

右5乳腺では、悪性の乳腺腺癌が形成されています。マージン部や脈管内、右鼠径リンパ節に明らかな腫瘍性の病変は認められませんが、表層は潰瘍を呈し、腫瘍の境界は不明瞭です。局所の摘出状態は良好と考えられますが、形態的に悪性度の高い腫瘍であることから、その他のリンパ節の状態などについて経過には注意が必要です。
その他の複数の乳腺腫瘍は、いずれも良性の腫瘍と診断されます。摘出状態は良好で、これらの病変に関しては今回の切除により予後は良好と考えられます。
子宮では、内膜は嚢胞状の過形成を示し、子宮腺筋症を伴っています。卵巣では、複数の嚢胞が形成されていますが、しばしば偶発的に認められる非腫瘍性変化です。
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治療・術後経過

術部も良好に治癒したため、現在経過観察中となっている。
担当医・執刀医:白井顕治
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