佐倉しらい動物病院ブログ

【現役獣医師が伝える】夏休みに気を付けたい犬の病気!

こんにちは、獣医師の白井顕治です。

めちゃめちゃ暑い夏休みが始まりました。

この記事では、夏休みに気を付けたいワンちゃんの病気について、実録を交えて情報を掲載していきたいと思います。

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目次

1、夏休みは普段と何が違うの?

2、おうちの中で観察して見つける事

3、おうちの中で気を付けてあげる事

4、近所のお出かけ、お散歩での注意点

5、遠方のお出かけでの注意点

6、体調を崩してしまったら

7、終わりに

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1、「夏休み」は普段と何が違うの?

この記事には状況を夏休みに限定しています。

夏休みはまず気候の要因として、外はとても暑いですね。室内はエアコンをかけて涼しいおうちもあれば、扇風機などを用いて風通しを良くするのみのおうちもあると思います。

こうした変化により、まず暑くて外に出ることができないので、生活リズムの変化が起きます。

また、熱中症予防のため散歩に行く時間が著しく早朝もしくは夜になったりして減少する傾向になります。

一緒に生活するご家族の要因として、ご家族のお休みが多くなります。学校が休みだったり、お盆や夏季休暇でお仕事が休みだったりすると、普段よく見ていなかったけど、ペットの異常に気付くことがあります。

さらに、お休みといえばお出かけです。今はワンちゃんと一緒に泊まれるホテルとかもありますもんね!

ワンちゃんを一緒に旅行に連れていくこともあれば、ペットホテルに預けることもあると思います。

また、普段は一緒に暮らしていない親族の方がおうちに訪ねてくることもあると思います。

このように、夏休みは様々な変化が起きる期間ですので、その中で起き得る事柄について下記に注意点を記載させていただきます。

2、おうちの中で観察して見つける事

普段より一緒にいられる時間が長いと、撫でてあげる回数が多くなったり、ブラッシングをしてあげたりと、何かとペットとのスキンシップが増えます。その中で「え、前からあったっけ?」という異常に気付くことが多いです。

例として

・歩き方がおかしい

・しこりがある

・ハゲてる部分がある

・耳が臭う

・目が白くなった気がする

など、よく観察したり撫でていたりしてるうちに気が付いて、いつからなっていたのかはわからないけど、前とは違う気がする…。といったように来院されることがあります。

実際にこういった状況では関節炎や軽度の椎間板ヘルニア、良性・悪性腫瘍、皮膚疾患、眼の疾患が診察において発見されることもあれば、病気ではなく単なる加齢性の変化だったこともあります。

また、巷には猫も杓子も「熱中症予防」の大合唱です。熱中症は危険な疾患ですので、大合唱で良いのですが、あまりに注意しすぎると興奮して呼吸が荒いのか、病気なのか、暑いのかがわけがわからなくなってしまうこともあります。

時に「見てたら呼吸が荒い気もするし、前からこうだった気もするし、良くわからなくなって診察に来てしまった」ということもあります(結構いらっしゃいます)

それでも診察を受けて、ホームドクターはそのペットの犬種や年齢、持病や家庭環境などもわかったうえで起きうるであろう異常の兆候などを、そのペットに合った内容として話してくれると思いますのでこうしたインターネットの情報よりはより具体的だと思います。

そうした具体的な内容を聞きに行くという目的だけであっても、心配になったら、動物病院を受診することもよいと思います。

3、おうちの中で気を付けてあげる事

まず、生活リズム、散歩のリズムが変動することのより起こりえる異常として膀胱炎があげられます。

高齢のペットや、外でしか排尿ができないワンちゃんは、散歩の時間の変動により、おしっこを出したいときに出せずに膀胱炎になってしまうケースがあります。特に柴犬などの日本犬に多い印象を受けますが、当院ではトイプードルやシェルティーなどもこういった理由での治療歴があります。

次に、散歩時間減少による体重の増加についてです。

散歩の減少は消費カロリーの減少につながりますので、散歩の時間が減った場合には、適宜食事の量を調節しないと、肥満になってしまう恐れがあります。

このことは特に、すでに肥満状態の小型犬や大型犬、高齢犬、すでに関節疾患を患っているワンちゃんにとっては健康な生活に直接かかわってくることです。

どの犬種であっても体重の増加は呼吸器状態の悪化や、関節疾患の悪化を助長させますので、暑いからといって散歩を減らすことは熱中症予防には非常に重要なことなのですが、それで体重が増加してしまうと、涼しくなった秋冬にお散歩がしづらいという現象が起こってしまいます。

なので、お散歩の減少により活動量が減る場合には、食事の量も体重を見ながら5~10%ほど減らして給仕してあげるとよいでしょう。(この調節する量に関しては、ホームドクターに相談してより適当な給仕量を決めてあげてください。)

熱中症に関しては多くのサイトで取り上げられていることですが、体毛が濃茶や黒かったり、肥満傾向だったり、短頭種(※1)だったりと、呼吸器の予備能力がもともと低めの子は特に注意が必要です。

(短頭種だぜ!)

熱中症は屋外だけでなく、室内で寝ているときなども、窓越しに日光が当たっているだけでなってしまうこともあります。クーラーをかけていれば予防できるかというと、これもケースバイケースで、中にはいっしょに部屋にいる人が上着を着て(場合によってはコートやダウンを着て)ワンちゃんのために室温を調節する場合もあります。

(室内でも暑くなりますよというイラストがあるのがすごい。)

なので、あくまで一般論として、ひとまず人が快適に過ごせるような室温であrば、問題は起こりにくいですよという説明はインフォームドコンセントの一環としてよく行いますが、前述の要注意な背景を持つ仔の場合には、より低い室温が要求されることもあるということを覚えておくとよいと思います。

この夏場に「呼吸が荒いな」と感じたら、まずは室温を下げてよくお水を飲ませたりしてみましょう。そのようにして呼吸が落ち着く場合にはかなり高い確率で「暑かったから」ということになります。呼吸が荒くなる原因はたくさんありますが(※2)、冷やして顕著に状態が安定するのは暑い時の場合です。

また、もし違う理由だったとしても、クーラーや体の表面に当てる保冷剤くらいの冷却で、容体が悪化することは考えにくいため、まずは冷やしてあげて変化があるか様子を見るというのも重要な判断基準だと思います。

最後に、お出かけをしなくても、親戚の方が遊びに来るという事もあります。

特に普段は高齢の方と暮らしているところに、かなり元気な小学生くらいの子供たちが何人か泊まりに来たりすると、嫌がってしまってストレスを感じてしまうこともあれば、はしゃぎすぎてしまって血尿や消化器症状、すごい仔は吐血してしまうような症状を出してしまうこともあります。

(吐血するまではしゃぐのがすごいなとは思いますが)

また、1歳前後の乳幼児が来る場合に注意したいのがベビーフードです。

こういったベビーフードやおやつには高率で玉ねぎが含まれていますので、食べこぼしをGETして玉ねぎ中毒に発展した仔も多いです。

乳幼児のお母さんも普段からワンちゃんを飼っていないとちょっとわからないことですし、一緒に暮らしている方も、ベビーフードのことまでは気が付かないことがほとんどなので、よく注意するとよいと思います。

(ワンちゃんがいるときの人間の赤ちゃんへの離乳食のあげ方として、購入の段階から玉ねぎの入っているものは除外して、もし食べさせてあげたい場合には食事に付きっ切りでお世話をしてきれいに片付けるようにするとよいと思います。偶然ですが、イラストにも玉ねぎが入ってるっていうね。というか、カレーの材料…?)

4、近所のお出かけ、お散歩での注意点

お散歩をする際に注意するポイントを書いてみます。

まずは暑さを避けるために、お散歩を行う場合には早朝や夕方遅く、もしくは夜に散歩をするなど時間を調節することは重要であります。

実際に人間が暑いと感じなくても、地面がまだ熱を持っていて、輻射熱で熱中症に発展してしまうこともあるため、十分に涼しくなったかを確認するとよいでしょう。

また、輻射熱はアスファルトが顕著です。家から出て割とすぐに公園(土の上)に行けるという立地の場合には、その数十秒の輻射熱が悪影響を及ぼすとは考えにくいので、輻射熱については考えすぎなくてもよいと思います。

(犬種やリスクによりますが、涼しくなってからのお散歩が安心ですね。)

暑さは違うことも引き起こします。

・・・そう、ミミズの日干しです。

何がおいしんだか、あれを食べるのが大好きなワンちゃんがいます。食べ過ぎると、おなかを壊してしまうこともありますので、あまり食べないほうがよいでしょう。

「どのくらい食べても大丈夫ですか?」とよく聞かれますが、その子次第です。また、消化器症状を出したときに、絶対にミミズのせい!と決めることも難しいです。

(誰も求めていないと思いますが、私が散歩中に撮影したミミズの日干しです。)

しかし、明らかにミミズを大量に食べた後に症状を出したなというワンちゃんを毎年何頭か診断しますので、好きなだけ食べさせないように気を付けましょう。

(暑いので、夜散歩をしていると、暗くてミミズせんべいに気づきにくいというデメリットが…)

ちなみに私の住んでいる場所は田んぼも多いので、カエルの日干しせんべいもよく落ちています。

5、遠方のお出かけでの注意点

遠方にお出かけの際、大きく分けて、親戚の方やホテルに預けてお留守番というパターンと一緒に行くパターンがあると思います。

預ける際には、慣れているところに預けてあげるとよいと思います。これに関しては、ペットの性格も大きく関与すると思います。ストレス(※3)を感じやすく、預けるたびに入院しないといけないレベルの胃腸障害を出してしまうワンちゃんも中にはいます。

この「預けると体調が悪くなる」というのは、預けてみないとわかりません。実際に「非常にナーバスな性格です」と言われてお預かりしても、ホテル中はかなりくつろいでいるときもありますし、ホテル中もずっと元気よくお散歩もしていたのに、3日目くらいから下痢が出てしまうような仔もいます。

また、1回ホテルに預けて、その1回目で体調不良が起きたという事では、まだホテルの預かりと体調不良の因果関係は確定的ではありません。確定的でないというだけで疑いはありますので、個人的には2回目、3回目もすべて同様のパターンで体調不良が起きる場合には、ストレス性と判断するようにしています。

高齢になってから初めて預ける場合は判断に迷います。高齢の仔は、一見健康そうに見えても、若いころと比べると様々な臓器の予備能力が低下しています。また、現状では特に症状を出していなくても、隠れた持病を持っている可能性も十分にあります。そうしたペットにおいては、普段から預けている施設であれば良いと思いますが、初めて預ける場合には体調不良が起きる可能性はあると認識しておいたほうが良いです(もちろん、絶対起きるという事ではなく可能性としてです)。ホテル中のストレスによって、潜在的にあった病気が顕在化した例は珍しくありませんので留意しておくべきでしょう。

例を挙げると、

・ホテル中に陰部から排膿が始まって検査を行ったところ子宮蓄膿症になっていた

・ホテルで預かるとよく体調不良が起きるペットを精査したら、アジソン病だった

・ホテル中に下痢が始まり、対症療法でも改善しないため、精査を実施したらリンパ管拡張症になっていた

また、上記の「ご家族が一緒にいるから異常を見つける」と同様に、ホテルで預かることにより、お世話をしていた人が皮膚病や体表のしこりに気付くことも良くあります。

その場合には、預ける前からあったのか、預けてから起きた異常なのかを良く考えることが重要です。これは「異常が起きたことがだれの責任か」という事ではなく「いったいいつからこの異常があったのか」という事を病気の診断のために知りたいからですね。

次に一緒に旅行に行くパターンについてですが、こちらもまずは車の長旅に慣れていることが必要なので、もし乗り物酔いがひどい場合には事前にホームドクターに乗り物酔いの慣らし方やそれに対する薬を用意しておくとよいでしょう。

嘔吐したり、滝のようによだれが出てきてしまったりするので、見ていてもかわいそうですから、「たぶん大丈夫」という見切り出発はしないほうが良いと思います。

次に上記のような体調不良、特に下痢や嘔吐、食欲低下などの消化器症状は旅行について行ったとしても起き得ることを認識し、旅行に連れて行くたびに似た症状を出す場合には、ホームドクターからその症状に対する常備薬などを処方してもらっておくと旅先でも安心できると思います。

最後に連れて行く際のポイントは、他の犬とのけんかによる外傷です。

パーキングエリアや観光地のドッグランは、場所によっては監視する係の人もおらず、また、普段からドッグランを利用し慣れていない方も利用するケースが多いように見えます。

そういった場合に、普段のドッグランと同じ気持ちで入って行って他のわんちゃんに近づいた時に、こちらがけがを負わせてしまう事もあれば、負わされてしまう事もあります。ワンちゃんの中には、普段は温厚なのに「犬」を見ると血相を変えて飛びかかるような性格の仔もいますので、性格の良く解らないワンちゃんとの接触は極力避けることを獣医師としては勧めたいです。

もっとも重傷な例では、旅行に行く途中のパーキングエリアで体重が7倍くらいあるワンちゃんい咬まれて大腿骨骨折をしたというのがあります。

何となく旅行先でみんなの心が開放的になったりしますが、人間の流儀がワンちゃんに通用しない部分もあるということは理解しておくとよいと思います。

(当然、車内も暑くなりますから、要注意です。)

6、体調を崩してしまったら

自宅にいる場合でも、出先であっても、体調を崩してしまったと感じた場合には動物病院への早めの受診をお勧めします。もちろん普段と違うと感じた症状の度合いにもよりますが、やはりこの時期の異常は熱中症の可能性もありますので、「なんとなく大丈夫そうだったから様子を見よう」の数時間後に致死的な状態になってしまうことがあるため、楽観的に書くことはできません。

また、前述のように、異常があったらすべて熱中症というわけではありません。暑さやそのほかの因子によってもともとあった持病が悪化して症状を出してしまった可能性もあります。そういった意味でも、何か異常を感じた場合には、受診をするか、状況をホームドクターに伝えて指示を仰ぐとよいと思います。

病院で配布している熱中症予防のパンフレットが目に留まりました。

日本気象協会 が作成しているパンフレットのようですね。

とても分かりやすく書いてありますので、参考にしてみてください。

日本気象協会リンク

7、終わりに

まず今回の記事を書くにあたり、多くのイラストを貸していただいたイラスト屋さん(かわいいフリー素材集いらすとや)にこの場をお借りしてお礼申し上げます。これからも使用させていただくことが多いと思いますので、宜しくお願い致します。

また、記事で紹介させていただいた日本気象協会に関しては、実は恥ずかしながら、このパンフレットの存在を見て初めて協会の存在を認知しました。ペットと直接関係ない協会の方から、こうした詳しいパンフレットを作成いただき、助かっております。

私からのこの記事に対するコメントとして、夏休みというのはとても楽しいものであっていいと思います。ですが、楽しいはずの夏休みが、ちょっとしたきっかけで悲しいことになってしまったりすることはよくあります。病気や事故は未然に防げるものも多くありますので、前もって「こういう危険性があって、こうなったら病院に行こう」というように把握しておくと、もし病気や事故が起きたとしても適切に対処できる可能性が上がるのではないかなと思います。

楽しい夏休みを過ごしてくださいね!

(※1)短頭種

チワワやパグ、ボストンテリアなど、顔が短い犬種の総称。

(※2)

暑い以外には、心臓の病気や肺の病気のほかに、怖い、痛い、不安などが呼吸が荒くなる要因として挙げられます。

(※3)ストレスについて

ここでストレスという話が出ましたが、このストレス性というのを判定することは非常に難しいです。そのほかの原因がなくて、明らかに強いストレスがかかっているなと判断ダンされて、そのストレスをかけたときに一致して症状が出るときに当院においてはストレス性疑いという診断を下しています。ストレスといって難しいのが、いやなことがストレスというだけではありません。日常生活と異なる変化はすべからくストレスです。預けるストレス、違う人と一緒に暮らすストレス、近くに知らない犬がいるストレス、食器が違うストレス、そして旅行に行くとしても、長期間ケージに入ってるストレス、車で移動をするストレス、違う環境に行くストレスといろいろな要因があげられます。重要な点は、本人が楽しいと感じているかどうかと、ストレスがかかっているかどうかは全く別ということです。例えば海外旅行に行った時に限って風邪をひいてしまったとかそういう経験を聞いたことはあると思います。精神的な重荷やマイナスの印象のものも、心がうきうきしていたとしても、普段と違うという事は多かれ少なかれストレスはかかっています。

監訳者プロフィール

白井顕治

日本動物病院協会の内科認定医・総合臨床認定医資格所有。

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

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