こんにちは、獣医師の白井顕治です。
この記事では、ペットの食物アレルギー(食物有害反応)についての情報を記載していきます。
食物アレルギーという言葉は一般的に使われる単語であり、正確にどういうものかと説明はできなくても、ご家族もしくは知り合いの中にも持っている方がいらっしゃるかとは思います。
食事中の物質に対して、体が過敏に反応してしまった結果起こる反応を指しますが、その反応の起こし方によって即時型~遅延型まで様々です。
アレルギーを起こしやすいものとしては肉類や小麦などが多いですが、様々な物質に対して反応する可能性があるので、一概に疑わしい食材を特定することはできません。
体の表面に強いかゆみを出したり、下痢や嘔吐、お腹がくるくるなる、おならが多いなどの症状等が食物アレルギーを疑わせる所見です。
食物アレルギーは繰り返し感作(摂食する)ことによって誘起されますので、「今までと同じごはんしか食べていないから、アレルギーではない」という診断は行うことができません。
また、食物アレルギーは全年齢で発症することがありますので、たとえば「8歳以上だから食物アレルギーではない」等と年齢で診断することもできません。
血液を用いたアレルギー検査(一般的には個々の物質に対するIgEの量を定量する検査)の信頼性は低く、診断のために検査を推奨している専門家はほとんどいないため、当院においても飼い主様からの強い希望がない限りは実施していません。
最も信頼性のある検査は、除去食試験を行ったり、試験的に疑われるものを食べてみたりして、症状の有無を確認することです。
ただし、来院時に皮膚のかゆみがひどかったり、下痢や嘔吐がひどい場合には食事療法を行う前に治療を行い、状態が安定してから食事療法を開始します。
食事試験は1つの食事あたり、その食事がいいか悪いかを判断するのに2~3か月かかりますので、少々気長に結果を待つ必要があります。
当院においては、食物アレルギーに対しては、出ている症状によって皮膚科もしくは消化器科で対応させていただいております。
「食物アレルギーかも?」と疑わしい場合には、お気軽にご相談ください。