目次
🐾 手術を受けたあと、うちの子はどうなるの?
「手術でおしっこが出るようになるのは嬉しいけど…」
「うちの子、ちゃんと回復できるのかな?」
「術後の生活、どう変わるんだろう?」
手術そのものよりも、術後の生活がどうなるのかを不安に思う飼い主さまはとても多いです。
今回は、当院で会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ)を受けた猫の、実際の“術後1か月”の流れをご紹介します。
🛌 術後1〜3日:入院期間中の管理
手術直後は、数日間の入院管理を行います。
✅ この期間に行うケア
-
痛み止めの投与(注射/内服)
-
抗生剤・点滴管理
-
尿の出方や出血の有無のチェック
-
トイレの使用状況や排尿姿勢の観察
-
傷口の消毒・保護
多くの猫は、術後1日目から排尿が確認できることが多く、
排尿できた瞬間の安心感は、スタッフにとっても大きな喜びです。
🏠 術後4〜7日:退院後、自宅での過ごし方
✔ よくある飼い主の質問
-
「おしっこはどうやって出るの?」
→ 排尿口の位置が変わり、肛門の少し下から尿が出ます
→ 通常よりもおしっこが“飛ばない”ようになります -
「本人は気にしてる?」
→ 術後数日は傷口を気にする様子がありますが、ほとんどの猫はすぐに慣れます -
「トイレはちゃんとできる?」
→ はじめは少し戸惑う子もいますが、1週間以内には多くの猫が適応します -
「なめたりしない?」
→ エリザベスカラーを数日〜1週間程度つけて管理することで防げます
🍽 術後2週目〜3週目:日常に戻っていく期間
-
傷口も安定し、エリザベスカラーを外せる子が増えます
-
トイレも普段どおりに使えるようになります
-
食欲や元気もほぼ元に戻り、「本当に手術したっけ?」と思うほど普通に過ごしていることが多いです
🐱 こんな変化があるかもしれません
術前 | 術後 |
---|---|
排尿姿勢:高くお尻を上げて排尿 | 排尿姿勢:やや低め/座るような姿勢で排尿する子も |
尿線が飛ぶ | 尿が下に垂れるように出る(正常な変化です) |
尿道の先端は陰茎先端 | 肛門の下あたりから排尿される構造に変更 |
→ いずれも**病気ではなく“手術後の正常な変化”**であり、
猫ちゃんたちはしっかりと順応してくれます。
📅 術後1か月:日常の中の“安心”を取り戻す
-
排尿トラブルに怯える日々が終わる
-
頻繁な通院や入院がなくなる
-
飼い主も猫も、精神的に落ち着いた生活へ
実際に手術を経験された方からは、こんな声をいただいています:
「もうあんなに苦しそうな顔を見ずに済むと思うと、本当にホッとします」
「おしっこが出てるだけで“ありがとう”って思えるようになりました」
🔍 よくあるご質問(詳細Q&A記事に続きます)
-
手術の後に結石はできないの?
-
再発の可能性はゼロなの?
-
排尿トラブル以外に注意すべき点は?
👉 これらについては、次回記事【会陰尿道造瘻術Q&A】で詳しくご紹介します。
📝 関連記事
🐾 最後に
会陰尿道造瘻術は、猫ちゃんにとってもご家族にとっても大きな転機となる手術です。
ですが、**その先にあるのは“もう詰まらない日常”**であり、
これまでのつらさから解放される希望でもあります。
「うちの子も、手術のあとこんなふうに過ごせるのかな…?」
そんな不安をお持ちでしたら、まずはお気軽にご相談ください。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
当院は日本動物病院協会(JAHA)から認定を受けている動物病院です。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。