はじめに
ご家庭で飼育されるエキゾチックアニマルの代表ともいえるハムスター。
この記事では、ハムスターに多い病気を部位ごとに紹介していきます。
この記事での「ハムスター」はジャンガリアンハムスターやゴールデンハムスターなどの一般的によく飼育されるハムスターを総称して記載しています。
ハムスターの眼の病気
ハムスターの目に一般的に発生しやすい病気として、結膜炎やマイボーム腺腫、白内障などがあげられます。
一つずつ、簡単に病気や治療方法の紹介を行います。
ハムスターの結膜炎
涙が増えたり、目脂がでたりする症状が現れます。それにより目が開けられなくなってしまったり、目の周囲が赤く腫れ、脱毛することもあります。
目が明かない、目の周りの毛が抜けているという主訴で来院されることが多い印象を受けます。
基本的には点眼での治療を行っていくことをメインの治療方法としますが、性格的に、また手技的に困難な場合は飲み薬(内服)で治療する場合もあります。
ハムスターのマイボーム腺腫
まぶたにしこりができているという主訴で来院されます。ほとんどのケースで、本人は気にしていないことが多く、悪化して拡大すると、目が閉じられなくなったりして二次的に結膜炎様の症状を呈することもあります。
治療方法としては、針で少し切開し、内容を排出させ、処置後は再発予防と創傷治癒の目的で内服を行います。
ハムスターの白内障
加齢性でなることも多いですが、他の病気(糖尿病など)に伴って白内障になってしまうこともあるため、原因の診断には注意が必要です。
明確な治療方法はなく白内障によって視力が低下してしまうため飼育環境中に障害物を減らすなど工夫して生活していく必要があります。
ハムスターの皮膚の病気
皮膚の疾患は、外見で【見て発見】できるため、ハムスターにおいても来院の理由となる疾患が多いです。
発生頻度の高い疾患を挙げると、細菌性皮膚炎やアカラス症、皮下膿瘍などがあげられます。こちらも一つずつ、簡単に病気や治療方法の紹介を行います。
ハムスターの細菌性皮膚炎
脱毛に伴って皮膚の炎症や強いかゆみが出ることが多く、重症だと出血を伴うこともあります。
検査を実施しそのほかの疾患を除外したり、細菌培養検査を実施して確定していきます。
ハムスターのアカラス症(外部寄生虫)
外部寄生虫疾患のほとんどはアカラス症であり、ダニの寄生などは稀です。
脱毛を主訴に来院することが圧倒的に多く、かゆみは出るときも出ないときもあります。
割合から見るとかゆみは無いこともすくなくありません。抜毛検査にて虫体を確認し、治療として駆虫薬の塗布をします。
ハムスターの皮下膿瘍
皮下膿瘍の場合、【しこりがある】腫れているという主訴で来院することがほとんどです。
頭部に発生することが多い症状です。
レントゲンやCTで周囲の状況を確認し、細胞診を実施して診断となる。形状によって、全摘出できるときもあるが、できない場合には切開して排膿・消毒して経過を観察していきます。その場合には繰り返すこともあるので、注意が必要です。
何か飛び出てる
【ハムスターを見ていたら、病気というか、何か赤いものがピロっと出ている・・・。】という主訴で来院されることもあります。
主に何か赤いものが出るものとしては、直腸脱や脱腸のように肛門から出る場合と、頬袋脱のように口から出ている場合があります。
ほかの疾患と比べても、発見した時には焦ってしまう疾患です。それぞれ解説していきます。
ハムスターの直腸脱・脱腸
肛門から腸管が出ています。
いきなり脱出してしまうというより、慢性的な下痢、異物・腫瘍などによる腸閉塞が基礎疾患として存在し発展してなることが多い疾患ですので、これに気づく前には、腸管の脱出以外の何らかの症状があったと考えられますので、脱出している事象以外のも原因を検査して治療する必要があります。
外見上は、直腸が脱出したのか、腸重積を起こした部分が脱出したのかはわかりませんが、綿棒などで周囲を観察することにより直腸脱なのか重積腸管の脱出なのかを区別していきます。基本的にどちらの状態であっても予後は悪いことが多いですが、助けることができるケースも少なくありませんので、早めの動物病院の受診をお勧めする状況です。
整復できる場合にはそのまま押し戻すこともありますし、難しい場合には開腹をし腸管を整復する場合もあります。
ハムスターの頬袋脱
頬袋内を気にして擦って、その結果出てしまうことが多いといわれています。
また、腫瘍などができてそれにより頬袋脱が発生することもあります。
脱出が起きた直後であれば、整復のみで再脱出が起きないこともありますが、基本的には頬袋を整復したのちに、縫合によって固定します。
どこからか血が出ている
実は結構多い来院理由です。【元気そうに見えて、お部屋の掃除をするときに、床材に血がついている。体を見ても、特に出血している部分は認められない。何だろう、でも、この赤いの血だよね?】みたいな感じでの来院となります。爪の折損や泌尿生殖器疾患でこういった症状が多いので、紹介したいきます。
ハムスターの爪が折れている
意外と多い来院理由です。爪が長いとトラブル増えるため、身体の観察をして、爪が伸びているような場合には定期的に爪切りをしてあげたり、爪が自然に摩耗するような環境にしてあげることも重要です。
折れてしまったら部分について、通常は消毒を行うとともに、内服を行って治療終了です。
ハムスターの生殖器疾患
ハムスターがメスの場合であれば、子宮疾患や卵巣疾患で排膿や出血が見られることもある。エコーなどの画像検査を行い、確定させ、原因の疾患によっては内科療法や、外科的な切除を行うかを考えていきます。
膀胱炎などによっても血尿が出ることはあり得ますが、発生頻度としては低く、血尿が出る場合には腫瘍が関連している可能性が示唆されます。
外陰部からの出血が認められる
まとめ
ハムスターは小さいお子さんから大人まで、とっても身近なペットだと思います。
日ごろから触れ合って、異常に気付いてあげてください。
ハムスターの体調に異常を感じた場合にはお気軽にご相談ください。
ハムスターの診療経験な豊富な獣医師が担当させていただきます。
担当医が決まっているため、来院の際にはお電話にて獣医師の出勤状況を確認の上ご来院ください。
ハムスターなどのエキゾチックアニマルの診療は千葉県佐倉市の志津・佐倉しらい動物病院へ
著者プロフィール
清水 麗子(うららこ) エキゾチックアニマル担当獣医師
犬猫の一般診療とともに、病院の中ではハムスターやウサギ、爬虫類や鳥類などのエキゾチックアニマルの診療を担当しています。
飼育相談から病気まで、お気軽にご相談ください。