犬の逆くしゃみとは
あなたの愛犬が、突然口を閉じたまま連続して「ズーズー」「グーグー」「ブーブー」などと言った呼吸の音を出していることはありませんか?もしかするとそれは逆くしゃみの可能性があります。逆くしゃみとは、鼻から息を吸うという動作が発作的に起こる現象のことです。通常は数秒から1分くらいで自然におさまります。
逆くしゃみの原因は?
①炎症
アレルギーや細菌感染、ポリープのようなできものが鼻の中にできる場合も逆くしゃみを生じる事があります。くしゃみを併発したり、時には鼻水や鼻血がでるといった症状がみられます。
②異物
お散歩中に草の種などが鼻の穴から入ってしまったりする事が原因で逆くしゃみを生じる事があります。くしゃみを併発する事もあり、草むらに頭を入れていた後から逆くしゃみが出ているなら、より強く疑います。内視鏡下での鼻咽頭内の観察により異物を発見できる事もありますが、異物によっては特定できない事もあります。
③特発性
チワワやヨークシャーテリア、プードルなどの小型犬が幼少期よりこの現象を生じる事が報告されています。原因は明確にはわかっていませんが、犬種特異的な鼻の構造が関係していると言われています。大人になるにつれて、落ち着く子もいます。また、小さい頃から逆くしゃみをしている場合は多くのケースで問題はなく、治療は必要ない事がほとんどです。ただし、小さい頃はなかったのに、急に逆くしゃみをしだした場合は、上記の挙げた犬種の子でも注意が必要です。
咳やくしゃみと逆くしゃみの違い
前述の通り、逆くしゃみは息を連続して吸いながら音を出しますが、それとは反対にくしゃみは何らかの刺激により鼻(時には口からも)空気を吐き出す現象を指します。
咳は、喉や気管の粘膜に異物を感知すると体外へ出そうとする働きにより生じます。「カハッ」「ガハッ」「ケッケッ」「ブッ」などの音が出ますが、乾いた感じのものであったり、湿った感じのものから様々です。咳を連続して出した後の「オエッ」と痰を出すような仕草が見られる事もあります。
いずれにしても、その際に動画を撮っておくと診察時に参考になるかもしれないので、撮っておくと良いでしょう。
逆くしゃみの対処法
逆くしゃみは人で言うしゃっくりのように、自分の意思で止める事ができません。逆くしゃみをしている間は苦しくないと言われていますが、ずっと続いていると見ていて心配ですよね。
逆くしゃみを止める一時的な対処法を以下に記載しますが、絶対に止まるわけではありませんので無理のない範囲で行うようにしてください。
①軽く鼻をつまむ
痛くない程度にワンちゃんのお鼻を軽くつまんでみましょう。
②お水を飲ませる
少量のお水を与えてみましょう。この際、誤嚥しないように様子を見ながらあげてください。
まとめ
逆くしゃみは多少であれば生理的にも起こりえる症状ですが、あまりにも続いたり、頻度が増えてきた場合はやはり一度担当の先生に相談して検査や治療を行うべきでしょう。
著者プロフィール
獣医師 吉川未紗
日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 呼吸器科・腫瘍内科 研修生
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。