佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の外傷と治療について解説

外傷とは

犬と猫における外傷とは、何らかの体の外からの力によって、皮膚や筋肉、骨や内臓に損傷を受けることを指します。

言葉で表現すると難しくなってしまいますが、次の外傷の種類を読むとイメージがつかみやすいと思います。

外傷の種類

外傷の種類の分類は様々ですが、分類の一つとして鋭的外傷と鈍的外傷に分けられます。一般に鈍的外傷の方が予後が悪いといわれています。

外傷は切り傷や打撲、落下や衝突、はさまれたりねじれたりすることによって生じます。

咬傷や交通事故、ベランダからの落下などによる外傷もここに含まれます。

その他、熱傷や凍傷、化学やけど、感電などによっても生じることがあります。

外傷の検査方法

外傷を検査するうえで、まずは重要な点としては、バイタルサインが安定しているかどうかを確認します。

すなわち、呼吸状態や血圧、体温や血中酸素濃度などを測り、ショック状態に陥っていないかを評価します。必要に応じて薬剤の投与や鎮痛、輸液を実施し、安定化させたのちに軟部組織の検査から始めます。

軟部組織としては胸腔内の肺や心臓、腹腔内の肝臓や消化管、膀胱などに損傷が生じていないかどうかを評価します。

次いで、神経系の評価を行います。ただし、外傷によるショックを受けている場合には、初期の評価は難しいこともあるので、定時的に検査を行い評価を続けていきます。

最後に、筋肉や骨、皮膚の評価を行います。骨折や筋肉の損傷、皮膚の損傷の程度を把握します。

傷がついている場合には、傷がどのレベルの深さまで到達しているかを評価したり、創傷周囲の汚れを取ったり壊死組織を除去するために全身麻酔が必要となることもあります。

なんとなく、「外傷って言ったら骨折が怖いから、レントゲンだな!」みたいに思ってしまいますが、生命維持により重要な臓器の評価が優先となることが重要です。

外傷の治療方法や治療費用

外傷の原因や場所、程度によって治る期間が異なります。また、中には治るまでに複数回数の全身麻酔が必要となることもあります。

通常外傷の治し方は一つではなく複数の手段が存在します。ご家族と相談したうえで、ニーズに合った治療法を選択することが重要といえます。

選択する際には、治療にかかるおよその費用や期間について話すべきです。

ただし、重度の外傷であるほど、外傷の程度を正確に評価できるのは外傷を負って数日経過してからということがほとんどであるため注意が必要です。

外傷の予後

一般的な情報として、外傷は若いオスに多く、退院率は雌の方が高いことが報告されています。

不整脈や心停止は予後に関連する悪化因子であることが知られています。

まとめ

外傷を負った場合には見た目で判断せずにすぐに動物病院を受診しましょう。

また、大腿骨や上腕骨などの大きな骨の開放骨折で、骨髄が露出している場合には、不用意に体を動かし続けると空気塞栓などの二次的な弊害を発生させる可能性もあるため、重度外傷の場合には動物病院に連絡を行い、どのように受診すべきかをあらかじめ訪ねてから受診へ向かうとよいでしょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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