佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の心雑音について解説

心音とは

犬と猫、それからほかの動物たちにとっても共通ですが、心音は心臓が動いていることによって生じる音のことで、血液が流れている音、弁膜が開閉する音、そのほか、切れた弁膜が震える音や、狭いところを血液が通るときなど、様々な理由で音が出ます。

Ⅰ音、Ⅱ音、Ⅲ音、Ⅳ音、クリック音、収縮期雑音、連続性など、様々な生理的(正常)~病的な心音が存在します。

心雑音を見つける検査とは

心雑音を見つける検査として最も一般的なものは聴診器を用いた聴診です。

あまり実施している施設は多くないと思いますが、心音図検査という検査も存在します。

心雑音とは

多くの場合、心雑音とは、正常では発生することのない音が聴取された場合に「心雑音が聞こえる」と表現されます。

異常な心音として、心音が大きく聞こえるのか、小さく聞こえるのか?

心雑音の発現のタイミングによって、収縮期雑音・拡張期雑音・連続性雑音のうちどれなのか?

また、雑音が聞こえる部分は、心臓の右側、左側、上側、下側のうちどこなのか

などという情報から、心臓の病気を推測していくことが聴診検査の役目です。

聴診はあくまで病気を推測することが目的ですので、聴診のみで心臓の病気の種類や病気のステージが確定することはありません。

心臓の病気ではない心雑音の種類

無害性雑音や、機能性雑音という名前が付きます。子犬や血流の増加(貧血や妊娠、低アルブミン血症や甲状腺の病気、高熱など)、ウィペットなど特定の犬種では、こういった雑音が聴取されることがあります。

猫の心雑音

猫の心音を聴取する際に、グルグルと鼻を鳴らしてしまったり、う~う~うなってしまうと、正確に判断することが難しいです。また、心音が犬と比較しても早いということも判断を難しくさせる要因の一つです。

また、緊張の程度や体位によっても心音が出たり消えたりするため、判断には注意が必要とされます。

発見が難しいため、隠れ心筋症などと呼ばれることもありました。

心雑音が出る病気

血管や弁膜の異常が多いので、雑音から発見される病気としては僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄、肺動脈弁狭窄、動脈管開存症などが主に上げられます。

また、心臓の形成の異常としては、心房中隔欠損や心室中隔欠損も異常血流によって雑音が聴取されます。

血流や心収縮の様子によっては、拡張型心筋症や肥大型心筋症のような心筋症であっても雑音が生じて発見されることがあります。

心雑音が聞こえた時の対処法

犬種や性別、年齢、臨床症状の有無によって判断が異なりますが、通常は精査を行います。

心臓や血管に対する精査としてはレントゲン検査、血圧測定、心電図検査、心エコー検査などが行う可能性のある検査として挙げられます。

また、病状によっては、心臓疾患のバイオマーカーを血液を材料に計測することもあります。

内服による治療が必要な場合には、薬の種類によっては、投薬しても問題がないかどうか、腎臓や肝臓の状態を調べる目的で血液検査を実施する場合もあります。

心雑音が聞こえた時の治療法や治療費用は?

心雑音が聴取された症例の品種性別年齢と、臨床症状の有無、そして心臓病の種類やステージによって治療内容が決まり、そこから治療の費用が決定していきます。

まとめ

心雑音は、検診や身体検査の一環で発見される以上ですが、心雑音があるというだけで病気や病状は確定しないため、追加検査が必要です。

また、一般的には「心雑音が大きいと病気が進行している。心雑音が小さいと、病気がそこまで進行していない」といえますが、例外的な病気や状態もあるため、心雑音の音量などの身で診断することはありません。

心雑音が聴取されたという場合には主治医と相談して経過観察や追加検査のプランを考えていくとよいでしょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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