皮膚とは
皮膚は表皮と真皮からなり、そこに毛包や被毛、汗腺などが合わさり、体の中で最大の臓器である体表皮膚を組織しています。
個々の構造物が病的な異常に陥ると、皮膚病として発見されるようになります。
皮膚病の時に出ることのある症状
医学的用語を用いると、びらんや潰瘍、丘疹や発疹など様々な症状があり、それぞれ原発で発生する原発疹と、続発的におこる続発疹に分類されます。
ただ、このようなことを記載しても、ちょっと伝わりにくいかなと感じたので、一般的にご家族の方が問診で表現する状況だと
赤い、べたついてる、気にしてなめる、かゆがっている、フケが多い、フケが広がっている、毛が抜けてはげてる、黒くなってる、しこりがあると表現される皮膚病が多いです。
発生頻度の多い皮膚病は?
犬では、アレルギー性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎、脂漏症やニキビダニ症、外部寄生虫感染症、表在性膿皮症、真菌感染などが主に認められます。
比較的まれですが、かゆみがあるという主訴で皮膚に形成した腫瘍が認められることもあります。
猫においては外部寄生虫感染やアトピー症候群、真菌感染症が最も高頻度で認められる疾患となります。
その他、心因性脱毛や皮膚に発生する免疫介在性疾患、肥満細胞腫や形質細胞腫などの腫瘍疾患が診断されることもあります。
もちろん、ここに挙げた以外の疾患も発生することはたくさんあります。あくまで、高頻度で診断される疾患の例です。
皮膚病の治療方法は?
皮膚疾患の治療は基本的に①食事療法・②シャンプー、スキンケア・③お薬の治療方法で治療を行います。
疾患の種類や重症度、ご家族の要望により、治療内容を決定していきます。
皮膚病の治療費用は?
治療内容を決定するうえで、選択肢がある場合には総合的にかかるであろう治療費用も治療内容の決定に重要な因子となります。
一部の疾患では、使用する薬の選択肢がほとんどないものもあるため、常に希望に沿った治療が行えるというわけではありません。
また、治療費用と同時に、治療のためにどのくらいの手間がかけられるかという点も、重要です。
主治医とよく相談して治療内容を決定していきましょう。
皮膚病はどのくらいの期間で治る?
疾患によって様々です。軽度の感染症であれば1-2週間で完治しますし、重度のアレルギー性皮膚疾患であれば治療は終生継続することもあります。
診断~治療を始めるタイミングで、およその治療期間をあらかじめ聞いておくことは、先々の不安を解消するために役立つ可能性があります。
まとめ
皮膚疾患は目で見て異常であることが発見できることが多く、来院頻度の多い診療科となります。
毛が多かったり、体格や体形によっては発見しづらい皮膚病もあると思います。定期的にペットの体を触ってあげて、異常があった場合には主治医に相談してみましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。