佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の関節の腫瘍について解説

関節とは

関節とは、骨と骨の間の部分で、主に体を滑らかに動かすためや骨と骨をくっつける役割を果たしています。

関節には沢山の種類があり、球関節や蝶番関節、車軸関節や楕円関節、顆状関節や平面関節などがありますが、この記事では主に四肢の関節(肩関節、肘関節、手根関節、股関節、膝関節、足根関節)にできやすい腫瘍を記載します。

関節にはどんな組織がある?

関節を構成する組織として、皮質骨、軟骨、靭帯、滑膜、血管、神経終末などが存在します。そのため、これらが腫瘍化することが関節の腫瘍の始まりといえます。

関節にできることの多い腫瘍とは

関節から発生することもあれば、関節周囲に発生する者も存在します。

比較的診断頻度の多い関節の腫瘍として、組織急性肉腫や滑膜肉腫、軟骨肉腫、滑膜粘液腫などが存在します。そのほか、近傍に浸潤性脂肪腫や筋間脂肪腫が形成されることもあります。

腫瘍ではありませんが、猫の肘関節には滑膜の異常により粘液腫が形成されることがしばしば認められます。

また、猫においては肺に腫瘍ができた場合の転移先として指の骨が腫大化することがあります。

もちろん、ここに挙げた腫瘍以外の腫瘍が発生してしまうことはあります。発生することの多い腫瘍を紹介しました。

関節にできた腫瘍の診断や治療法は?

腫瘍の診断は細胞診もしくは生検によって行われます。ステージングについてはCT撮影や領域リンパ節の細胞診や生検によって確定が出ます。

治療法は、外科的治療の場合には切除や断脚術が選択される可能性が高いです。また、腫瘍の種類や目的によっては術前・術後、もしくは緩和的な放射線療法が選択肢に入る場合もあります。

同様に、腫瘍の種類や摘出状況によっては、術前や術後に化学療法を実施する場合があります。

関節にできた腫瘍の治療費用は?

検査費用としては、麻酔前検査や細胞診・組織生検、場合によってCT撮影などの費用が加算されると考えられます。

治療費用に関しては、上記の外科療法、放射線療法、化学療法をどのように選択するかによって費用が決まってきます。

主治医と相談の上、治療終了できるプランニングを立てていくことが重要といえます。

関節に腫瘍ができた場合の余命は?

腫瘍の種類により、得られる中央生存値が変わります。また、同じ腫瘍であっても、グレード(転移や局所浸潤状況を含めた)や摘出状況、予後因子などによって得られるであろう中央生存値が異なります。

多くの場合、それらの情報がすべて出そろうのは術後に病理組織検査を実施した後であると考えられます。

まとめ

関節の腫瘍は、疫学的には大型犬やコーギーなどに認められます。そのため、トイ種や小型犬の飼育頭数の方が多い日本国内ではそこまで発生頻度の高い腫瘍とは言えません。

関節の腫瘍の発生は、慢性の関節炎とも関連しているといわれています。歩き方が悪くても、「もともと関節炎もあるしね。」と発見が遅れてしまうケースもあります。

特に大型犬を飼育している場合、毎日の歩き方をきちんと観察することが早期発見に重要であるといえます。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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