しこりについて
犬の体の表面にできた腫瘤(しこり)は、大きく分けて
良性腫瘍、悪性腫瘍、腫瘍でない何か他の物
の三種に分類されます。
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【獣医師監修】ペットの体にしこり?良性腫瘍と悪性腫瘍の見分け方は?
犬の瞼にできるしこりの種類について
最も発生率の高い腫瘤(しこり)としては、マイボーム腺腫が挙げられます。
そのほかの良性腫瘍として、犬皮膚組織球腫や乳頭腫が挙げられます。
乳頭腫は正確には結膜由来であることがほとんどですが、ピンクの腫瘤がまぶたからはみ出るので、まぶたのしこりという主訴で来院することが多い疾患です。
悪性腫瘍としてはリンパ腫や肥満細胞腫、扁平上皮癌やメラノーマなどが挙げられます。
腫瘍以外の疾患としてアレルギー性や免疫介在性、感染性の急性炎症や肉芽腫性炎症が挙げられます。
眼瞼内への異物の刺入により腫脹している
マイボーム腺腫とは
眼瞼にあるマイボーム腺という腺組織が腫瘍化した良性腫瘍です。
マイボーム腺は、マイボーム腺腫以外にも、マイボーム腺機能不全やマイボーム腺炎などを起こすことがあります。
マイボーム腺腫の診断
マイボーム腺腫は、膨隆したしこりを圧迫し、排出されてきた細胞を細胞診検査することによってマイボーム腺腫を疑うことができます。
似た外見であってもマイボーム腺腫以外の腫瘍の可能性があるため、可能な限り切除前に細胞診を行うことが重要であると考えています。
マイボーム腺腫の治療方法
マイボーム腺腫の治療法は基本的に外科的な摘出となりますが、施設によっては凍結させてマイボーム腺腫を萎縮させる手法を選択する動物病院もあります。
凍結による萎縮は処置時間が短かったり、眼瞼を切開しなくて済むというメリットがある一方で、再発のリスクが切除よりも高いとされています。
凍結であっても切除であっても処置は全身麻酔下で行うため、当院では切除による摘出を第一選択として実施しています。
マイボーム腺腫の術後
マイボーム腺の術後の外貌は摘出するマイボーム腺腫の大きさによって異なります。
小さいものであればそこまで変わりませんし、大きいものではまぶたを引き寄せるため眼瞼裂の大きさが変化してしまうこともあります。
また手術を行う犬種についても、柴犬のような眼瞼裂の小さな犬種ではより早めに手術を実施したほうがよいといえます。
まとめ
目の周りはよく観察する部位であるため、まぶたにできた腫瘍は早期に気づくことが多い腫瘍といえます。
また、術後に外貌が変化してしまう可能性がある部位ですので、早めの治療を実施してあげましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。