佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬や猫のふらつきー正常に歩行できない理由を解説ー

正常ではない歩行とは

この記事では、体重の重心移動がスムーズではなく、普段の歩行と比較して異常を感じる状態を異常な歩行と定義します。

跛行(はこう・びっこ)や運動失調などを起こしている可能性が考えられます。

ふらついている

ふらついている場合には、神経性の異常が主に考えられますが、一部の整形外科疾患であってもふらついているように感じられる場合があります。

ふらついている場合に考えられる疾患

中枢神経疾患としては、中枢神経系の疾患や頚髄の神経疾患が疑われます。歩行以外に、意識レベルも判断材料として有用です。

末梢神経疾患としては、重症筋無力症のような神経筋接合部で発生する疾患もふらついているように感じることがあります。

多発性禁煙などの筋疾患においても正常な歩行ができずにふらつくように感じることがあります。

また、神経に作用する鎮痛剤や抗痙攣薬を飲んでいる場合にはふらつきの症状を示す場合があります。

その他、重度の腹痛でもふらついて歩くような症状を呈することもあります。

また、血圧が安定せずにふらついてしまっている可能性も考えられます。その場合には血圧及び心疾患の有無を評価する必要があります。

各種内分泌疾患において、血糖値やカルシウム、カリウム値の異常がある場合にもふらつきが認められることがあります。

ふらついていたらすぐに動物病院に行くべきか

動物病院への受診の判断はかかりつけ獣医師に問い合わせることが重要ですので、ネット上の情報をもとにしてご家族が判断することはやめておきましょう。

判断基準として重要な部分として、ふらつきの頻度や程度、持続時間と、ふらつき以外の意識レベルや体性痛の有無、食欲や排尿・排便ができているかなどがあげられます。

ふらつきは軽度で一過性であり発生も稀、他に何も症状が出ていない場合には経過観察を行ってもよい状況と考えられますが、既往歴や遺伝的な背景によって判断が異なる場合があります。繰り返しになりますが、かかりつけ獣医師に判断を仰ぐのがより適切といえます。

まとめ

ワンタンや猫ちゃんがふらついて歩いている場合には、神経疾患から内臓疾患まで様々な疾患が原因として考えられます。

ふらつきの頻度や程度が重度と感じられる場合にはお気軽にご相談ください。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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