犬と猫が一日に食べる食事の量は?
正しい食事の量は明確には決まっていません。
品種や性別、年齢や活動性によって異なるため、1歳以上の成体になっている場合には「その食事の量を食べていて、筋肉量を含めた体重があまり増減しない量」が適正な量と判断されます。
例として、同じ3歳のチワワであっても、1頭で飼育していて散歩が嫌いで一日中お昼寝をしている個体と、複数頭数で常に遊びまわっていて、お散歩にも一日2時間ほど行く個体では必要な食事量は2倍近い差が出ます。
活動性が低い個体の場合にはペットフード袋の裏に記載されている量を給餌してもどんどん太ってしまうことも珍しくありません。
臨機応変に食事量を見直していきましょう。
いつものご飯を食べない時の対処法
いつものご飯を食べない時に最も見極めが難しい点として、「わがままなのか病気なのか」という点です。
普段食べているおやつを与えてみたり、ご飯を温めてみたり、散歩中やお庭など、環境が違うところで給餌してみると食べることもあります。
また、特定のご家族が一緒だと食べるということもよくあるため、ペットと仲の良いご家族様から手で給餌してあげるというのも効果があることがあります。
ご飯を食べないときの注意点
注意点として、普段挙げたことがないご飯やおやつをあげることは控えたほうが良いです。
理由として、フードやおやつ自体が体に合わなくて、下痢や嘔吐の消化器症状を出してしまうことがある多です。そういった症状が発生した場合に「病気が進行して消化器症状が出たのか、新しく食べたご飯が体に合わなくて消化器症状が出たのか」の判断ができなくなってしまうためです。
逆に、毎日とは言わなくても、これまで給餌したことがあり、特に問題を起こしたことがないご飯やおやつは給餌してもよいと考えられます。
病気かどうかを見き分けるポイント
これは難しいです。
ケースバイケースといわざるえません。
実際に診察室でご家族と診察室内で相談し、経過観察をするか検査や治療青するかを相談していきます。
体重が減るほどのわがままを言う症例もいれば、わずかに食欲がなくなっただけでしたが、検査をした結果、胆嚢が破裂して腹膜炎を起こしていて緊急に手術を実施した症例もいました。
若いから、元気はあるから、吐いたり下痢しているわけではないから、半分くらいは食べてはいるから、触っても熱っぽくないから、ということは安心できる材料にはなりますが確定的ではありません。
ケースバイケースです。
まとめ
食欲不振は、最も一般的でよく発生する症状のうちの一つです。
記事のように、ちょっとしたわがままで出す場合から病気のことまでさまざまであるという点と、病気であったとしても特定の臓器を指す症状ではなく、どこが病期になっても出す可能性がある症状であるという点が、よりケースバイケースという状況を作りやすい要因となっています。
自宅で様子を見すぎずに、適切に動物病院のかかりつけの先生に相談して対応してもらいましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。